高みを見据える
やめた方がいい。何度言われても、志は折れなかった。
中小店舗向け決済サービスを手掛けるストアーズ(東京)取締役の佐俣奈緒子さんを招いたトークイベント(中国経産局主催)が昨年12月、広島国際会議場であった。
安佐北区出身。米決済大手ペイパルを経て、2012年に前身のコイニーを設立。スマホの普及を背景に市場拡大を見込んだが、道のりは険しい。決済端末を自社製造していたこともあり、初期資金2000万円は早々に底をついた。
「20代で実績も信用もなく、投資家や周囲から撤退を勧められる毎日。それでも、社会に必要な事業だという思いがよりどころとなった」
10年分の事業計画を練り、多くの人と会って丁寧に説明を重ねた。次第に支援者が増え、調達資金は7500万円、13億円、80億円へ増えた。後に楽天などの巨大企業が参入しても、「市場に魅力がある証」と前向きに受け止めた。
一方、育児との両立に悩み、会社売却を考えた時期もあった。家事代行やシッターの活用、会議の削減で乗り越えた経験から、
「大変なのは数年。コストをかけても、越えられる体制をつくることが重要だ」
女性起業家にエールを送る。
24年度の売上高は146億円。社会になくてはならないインフラへと育て、ゆくゆくは1000〜2000億円を掲げる。高みを見据え続ける姿勢が成長の源泉なのだろう。
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