国内最大の壁紙工場
インテリア資材卸で大手のサンゲツ(愛知県)子会社のクレアネイト(東京)は10月23日、国内最大級の壁紙工場となる東広島事業所(東広島市高屋台)を本稼働した。
竣工式でサンゲツの近藤康正社長は、
「当社は生産拠点を持たないファブレス経営を展開してきたが、21年にクレアネイトをグループ会社に迎えた。壁紙市場で当社のシェアは50%以上を占め、その主力仕入先がクレアネイトだ。これまで扱い数量の多い汎用品の製造は、同社の岩手県の事業所に集中していた。新たに西日本に製造拠点ができたことは当社にとってもBCP(事業継続計画)の観点から意義は大きい」
東広島事業所ではサンゲツが特許を取得した、パレット単位での物流システムを標準化。物流効率を大幅に高める。
「環境配慮や、職人の施工作業を省力化する製品など、社会課題解決につながる壁紙製品の開発へ、今後ともクレアネイトと協力して推進します」
人口減や住宅着工件数の減少は逆風だが、リフォーム需要の拡大が見込まれており、壁紙市場はまだ伸び代があるという。
ロボット甲子園
産業用ロボットの開発やシステムインテグレーションの道を志す学生を応援し、発想豊かな人材育成を促す大会へ発展してきた。三光電業(西区商工センター)は10月19日、第4回「ロボットアイデア甲子園」中国地区大会を同社で開いた。
日本ロボットシステムインテグレータ協会から運営を引き受け、県発明協会と共催。学生が業界動向や企業概要などを調べられるよう、広島経済レポート編集部が毎年定期発行する「ひろしま業界地図」(322㌻)を事前に無償配布。
エントリーは約90人に上り、前年から倍増。文系や女子生徒も目立つ。事前選考を経て、大会当日は高校生ら20人がロボットのアイデアや事業化方法をプレゼン。最優秀は安田女子高2年の峰平陽菜乃さん。海洋生物を守るためのサンプル採取などを提案した。県発明協会賞に同校2年の小池美南さん(海外で日本武道を指南するロボ)、ひろしま業界地図賞に祇園北高1年の合田輝さん(介護業界の人手不足改善ロボ)を選定。谷口哲至審査委員長(広島工業大学准教授)は、
「生成AIが普及する中、さまざまなツールを使いこなして新しい価値を生み出す能力を培うことが未来を切り開く鍵となる」
課題に気付き解決策を練り、全国大会へ向け資料作成や発表の練習に全力投球。日本一を期待したい。
東京で移住フェア
広島県、市、県交流・定住促進協議会は11月15日午前10時半から、千代田区有楽町の東京交通会館で「ひろしま瀬戸内・さとやま暮らしフェア」を開く。
広島、山口、島根県内の計29自治体が出展するほか、移住プランナーが仕事や教育、起業、子育てなどの相談に応じる。メイツ中国、クリエアナブキなどUIターン転職、ひろしま創業サポートセンター、日造協などの仕事関連や広島県住宅課、県教委も出展。住まいや仕事、広島の食セミナーもある。20〜40歳代をターゲットに「デニム生地を使うコースター」「マルニ木工が家具製作に使用する上質木材で作るスプーン」のワークショップも初めて開く。県地域力創造課は、
「7月のひろしま暮らし&仕事フェアは213組が参加。県職員が東京の相談窓口に常駐し、支援体制を整えている。昨年度は過去最高の712世帯が移住。フェア会場で移住に関する情報やヒントを見付けてほしい」
誠実に向き合う
きな粉を製造する上万糧食製粉所(安佐南区)は近くの伴南小学校の生徒と、きな粉を活用したレシピ開発に取り組み、大きな手応えを得たという。
タンパク質など成長に欠かせない栄養素を含む、きな粉を多くの子どもに食べてほしいと今春、5年生を「特別社員」に任命しメニューの考案を頼んだ。当初は夏までにプロジェクトを終えるつもりだったが、食べていないのに「おいしい」と発表していることを知り、急きょ延長。「わが社は創業以来、誠実さを大事にしている」と伝え、新入社員も交え、働く意味を考える時間も設けた。
子どもたちは10月21日の最終プレゼンで3メニューを披露。きな粉をまぶしたポテトチップスなど柔軟な発想が光った。数度の試作を経て、子どもも作りやすいよう手順を簡素化し、食べ方のアレンジを考えるなど工夫を凝らした内容に。新たに立ち上げたウェブサイトやSNSで公開し消費促進に生かす。栗栖亮輔社長は、
「当社の一員として一切の妥協をせず正直に仕事に向き合い、やりがいを感じてもらえたのでは。いずれも文句なしの出来で、世界中で食べてもらえるようPRに力を尽くす」
銅蟲の技法生かす
プレス・塗装・機械加工を手掛ける西井製作所(海田町)は9月28日、広島の伝統工芸「銅蟲(どうちゅう)」の技法を生かした「伊久馬」ブランドの銅製カップを島根県津和野町へ寄贈した。
一枚の銅板を絞り、ひとつひとつ丁寧に槌目をつけて作り上げるのが特徴。鉄を主成分としたステンレスに比べて銅製の熱伝導率は25倍と極めて高いため、氷を入れた途端にカップ全体が冷たくなり、手や口で触れた瞬間に格別の清涼感を感じられる。津和野町は早速、町内の宿泊施設「宙辺 (ソラベ)」に伊久馬の一式を備える。西井裕昭社長は、
「伝統技術はただ保存するだけでは、やがて価値が失われる。銅蟲の特性を見極めながら新たな活用を探り、新製品を開発した。実際に生活空間の中で、感性に触発された人々に使われていくことが大切。宿泊者の目と手に広島のものづくりの息吹を届けたい」
飛び立て比婆牛
幻の広島和牛「比婆牛」を県のブランド牛として普及させようと、県が主導して生産〜流通〜商品開発に伴走支援するプロジェクトが着々と進んでいる。
高級飲食店などでは通常扱われない流通課題のあるバラや外モモ、小間材などの部位を使い土産物などを想定した加工品の開発アイデアを公募。審査の結果、和食部門で正弁丹吾の田中登料理長の「外モモの味噌煮込み」、洋食でグルタの鶴田直也オーナーシェフの「ナポリ風ジェノベーゼ」が採択され10月29日に発表。
「当店の女将は比婆牛の産地、庄原出身で開発に意気込み、期待をかけてくれた。おいしさをもっと知ってもらえる商品開発に取り組みたい」(田中料理長)「パサつく外モモと、脂を落とす分コスト増になるバラとのバランスをメインテーマにした。商品化で、より多くの方に比婆牛の魅力が伝わるとうれしい」(鶴田シェフ)
これまで産地消費が主だったが、市内ホテルでも扱い始めた。加工品は販売を想定し年度内に商品化。県外へも飛び立ちつつある。