マエダハウジングHD / 前田 政登己 社長

住宅リフォームで創業した当社は地域密着を軸に事業領域を広げ、現在のグループ売上高約62億円から2030年に100億円規模への成長を目指している。VUCA(変動・不確実・複雑・曖昧性)の時代と言われる中、自然災害やコロナ禍など幾度も厳しい外部環境に直面。不況に耐えられる弾力性を備えるために新会社設立やM&Aで多角化し、何かが落ち込んだときにカバーできる体制を敷いてきた。
何よりも、そのたびに顧客満足や社員の幸福、地域貢献を実現する理念、自社の存在意義に立ち返った。いま少子高齢化で空き家が増加し、地域コミュニティーの維持も難しくなっている。リフォームや不動産売買を通じて、この社会問題に向き合ってきたが、空き家の住み手が見つからない本質的な理由は「人が使えない状態」だからだろう。
そこで取り組んだのが、空き家の用途そのものを転換するソーシャルビジネスだ。24年には日本家屋を当社ショールームにリノベーション。一般の方に実際の活用事例として見てもらっている。東広島市西高屋を人が集う町にリノベーションするプロジェクトでは第1弾のコミュニティーハウスを25年に開設。

さらに同年、室内農業「おうちFARM」事業を始めた。空き家オーナーから物件を借り、水耕栽培設備を置いて利用者に貸し出す仕組みだ。オーナーは税負担や維持管理の手間を軽減しつつ建物の劣化を防ぐことができ、利用者は無農薬野菜の栽培や収穫を楽しめる。シマウマの白黒柄のように、社会課題の解決と経済成長という二つの要素を両立させる「ゼブラ企業」を目指したい。

また、住宅業界に携わる者として痛ましいことだが、自宅内のヒートショックによる脳梗塞や心筋梗塞で亡くなる方の人数は交通事故の死者数を上回っている。当社では住宅の断熱・耐震・防音の性能向上リノベーションを積極的に提案し、こうした事態を防げるよう努めている。