巻頭特集 2026.03.24

【対談】スポンサーシップと街づくり スポーツ起点のインフラ整備へ

荒谷建設コンサルタント 荒谷 悦嗣 社長 / ヴィクトワール広島 中山 卓士 GM兼社長

 国内3位の強豪へと成長した自転車プロロードレースチームのヴィクトワール広島と、道路・橋梁設計などの荒谷建設コンサルタント(中区)が今シーズンからスポンサー契約を結んだ。地場企業がスポーツチームに協賛する意義はどこにあるのか。共創で自転車インフラ整備という社会課題解決を狙う2社長に背景と展望を聞いた。

スポンサー参画の決め手は。

荒谷 近年、シェアサイクルで広島市内を走ることがある。その中で道路の構造や整備に改善の余地を感じるようになった。かつてドイツのライプツィヒを訪れた際、歩道と自転車道が明確に分離され、駅構内や電車内にもそのまま自転車を持ち込めることに衝撃を受けた。ニューヨークでは、車道1本をそのまま自転車道に転換し、大渋滞を招きながらも市民がそれを受け入れている様子を目の当たりにした。そうした経験がある中で、経済同友会の席で中山社長と出会い、昨夏のレースに招待された。観戦を通じ、道路整備の専門家として一緒に動ける確信を得て参画を決めた。

中山 荒谷社長のご体験を聞き、思いが完全に噛み合ったと感じた。当社が描く街づくりの青写真を共有できるパートナーを得られたという思いだ。わがチームの選手は1人年間約3万6000㌔を走り、路面の凹凸や整備不備を体で熟知している。その集積した実体験に荒谷さんの専門性や実績を掛け合わせれば、国や自治体への働きかけに格段の説得力が生まれ、議論の質が全く変わる。現在は両社で月1回のミーティングを重ねている。

スポーツチーム協賛の意図は。

荒谷 当社は広告宣伝で受注が増える業種ではなく、重視するのは採用向け認知獲得と社員エンゲージメント向上の2点だ。以前、若者へのアピールを狙い年末年始にテレビCMを80回流したことがあるが、ターゲット層にはほとんど届かなかった。スポーツチームであれば、試合会場やSNSでのユニホーム露出が直接届くと考えた。また地元チームを応援することで、社員が誇りを持てる会社づくりにもつながる。

中山 商談獲得ではない理由で賛同していただけることが心強い。「街づくりの応援」という大義名分は、新たなスポンサー候補への説明がしやすくなる。協賛社自身が自信を持って語れる理由を持てることが、長期的な関係を築く上で重要だ。

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PROFILE
プロフィール画像

荒谷 悦嗣(写真左)
1975年10月15日生まれ、広島市出身。慶應義塾大学卒業後、東京の民間シンクタンク勤務を経て2007年に入社。08年取締役、10年常務取締役、16年から現職。

中山 卓士(写真右)
1989年3月23日生まれ、埼玉県出身。選手時代に2009年全日本選手権U23準優勝、12年LeBizet(ベルギー)5位入賞など。15年にヴィクトワール広島を設立。


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