巻頭特集 2026.03.24

高い壁が変革のチャンス 試行錯誤させ、理解促す

広島東洋カープ/ 福地 寿樹 一軍打撃チーフコーチ

 人材育成において失敗をどう経験させ、成長につなげるか。昨年、中村奨成選手のブレークの立役者ともいわれた福地寿樹打撃コーチは、選手に試行錯誤を促す指導で成果を上げてきた。その手法から企業経営への示唆を探ろうと、(社)広島県中小企業診断士協会の会員でつくる「カープを科学する研究会」の2人が話を聞いた。

伊藤 中小企業診断士で「カープを科学する研究会」代表の伊藤圭介です。チーム、そして福地さんの育成手法から、企業経営へのヒントを得られたらと思っています。

塩田 同じく中小企業診断士の塩田睦大です。まず中村奨成選手について。昨年の成長(自己最高を大きく更新する97安打、9本塁打など)の裏には何があったのでしょう。

福地 一番は気持ちの変化ですね。期待されながらも結果を残せないまま高卒8年目を迎え「ここで変わらないと先はない」と気付いてくれました。実はずっと、彼の打撃フォームには課題があると感じていました。ただし打ち方を変えるには相当の覚悟が必要です。昨年の春、凡打続きで焦る姿を見た時、今なら受け入れてくれると思いました。当初は新しい打ち方に違和感があったと思うのですが、それを続けてくれたから昨年の成績を残せたと思っています。

 これまで中村は、自分を変えるチャンスはあったのに変えていなかったと感じます。それは彼に限らず、多くの選手がそうです。こだわりや自信を持っているのは悪いことではないし、むしろ大事なマインドと思っていますが、いつか必ず壁にぶち当たります。そのタイミングこそが変化のチャンスとなるので、選手一人一人の様子を気にかけ、機会を見逃さないようにしています。

中小企業診断士 伊藤 圭介

塩田 昨年は小園海斗選手も初の首位打者と最高出塁率を獲得しました。飛躍の鍵は何だったのでしょうか。

福地 小園は元々、高い打撃センスや感性を持っています。大きかったのはレギュラーを確保して試合に出続けたことですね。例えば相手の情報を蓄積して、どう攻めてくるかなどをイメージして打席に立てるようになりました。試合に出られる選手はチームの中でも一握り。さらに限られた人間がタイトルを取るのです。最後は頭をきちんと使わないと、その領域に達することはできません。

伊藤 経験を積むという点では、特定の選手に多くチャンスを与えるとチームで決めることはありますか。

福地 もちろん、あります。ドラフト上位で獲得した選手など、将来の主力になってほしい存在というのは、現場と球団ですり合わせを行います。そうした選手には試合だけでなく練習も含め、扱いが変わりますね。

 ただ、そこから漏れた選手が少ないチャンスをつかみ、序列が入れ替わることもあります。足がとにかく速い、左投手にめっぽう強いといった一芸に秀でた選手は、そうした傾向が強いように感じます。

中小企業診断士 塩田 睦大
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PROFILE
福地 寿樹

福地 寿樹 1975年12月17日生まれ、佐賀県出身。93年ドラフト4位でカープ入団。3球団目となったスワローズで2回の盗塁王に輝いた後、指導者の道へ。2023年にファームの打撃兼走塁コーチとしてカープ復帰し、今年から1軍打撃部門を統括する現職に就いた。

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