広島トヨタ90周年
県内トヨタ系ディーラーで最古参の広島トヨタ自動車(西区観音新町)が2026年で創業90周年を迎える。
創業者の藤井巌さんは米国で自動車の利便性を目の当たりにし、日本でも普及すると確信。いち早く、当時まだ新興企業に過ぎなかったトヨタ自動車と販売店契約を結ぶ。10周年を1年後に控えた194 5年8月には千田町の本社を原爆で失うも翌年、広瀬北町に新本社を設け再出発する。「広島初の乗用車を造ろう」を合言葉に、48年にはトラックの部品をかき集めた四輪車「ヒロセキタマチ1号」を試作した。
その後、読み通り到来したモータリゼーションの波に合わせて店舗網を次々に拡大。現在はレクサス店、ダイハツ店、フォルクスワーゲン店など含めグループで23店を展開する。89年に25歳の若さで就任した3代目の藤井一裕社長は、
「ヒロセキタマチ1号の完成は先人たちの車にかける情熱、そして焼け野原になった街の役に立ちたいという思いがあってこそ。むろん、その精神は今も息づいている。社員一人一人が力を存分に発揮し、良いサービスを提供できる環境づくりを進めていく」
2021年開設の物流拠点KOCHI BASE(東広島市)と24年に新築移転した現本社には、最新の研修施設を設けた。丁寧な育成プログラムも好評で、採用面で効果を発揮しているという。加えて被爆後に再出発した地に立つ本店や安佐南区の広島北店、三原店などを24〜25年に相次ぎ刷新した。顧客と社員、地域に愛される会社を目指し、100年の大台へアクセルを踏み込む。
助け合って60年
鋼材の加工・販売を手掛ける藤栄鉄工(西区商工センター)は今年11月、創業60年を迎える。顧客の困りごとに耳を傾け、同業と助け合いながら事業を拡大してきた。
1966年、中区河原町で創業。建築資材の切断を生業としていたが、受注難から一時はエアコンの取り付けでなんとか食いつないだ時期もあった。その後、顧客のニーズに応えて曲げ、穴あけ、表面処理の一種のショットブラスト、溶接やその強度を上げる面取り(開先加工)、レーザー加工へと間口を広げ技術力を高めた。取引先は商社や鉄工所、鉄骨製造業者、同業ほか自動車業界に及ぶ。
今は西風新都、安佐など4工場を稼働。業界では珍しい24時間体制を敷く。2028年には廿日市市平良の工業団地に新工場を構え、生産拠点を集約する計画。3代目の北英彦社長は、
「当社が溶接に参入する際、競合するにも関わらず、一から技術を教えてくれた協力会社をはじめ多くの人に支えられた。最近は資材や人件費の高騰で同業者の廃業、解散が相次ぐ。仕事を融通し合うなどして業界全体で難局を乗り越えたい」
技能実習生を含め約70人の従業員の幸せを実現できる会社が理想という。昨年末に子ども手当を増額し、世帯主でなくても支給するよう改めたほか、イデコ(個人型確定拠出年金)の積み立て補助も開始した。
「日本一のレーザー屋」を合言葉に、30年に現在の約2倍の年商40〜50億円を目指す。挑戦は続く。
超現場主義
マーケットは生き物。動向を見据え、タイミングを計り、的確に手を打つ。郊外型の大型ショッピングモール内出店を中心に、玩具などの専門店「ホビーゾーン」を全国展開する冒険王(安佐北区可部)は順調に業績を伸ばし、売上高100億円の大台を目前に捉えた。
2025年6〜11月業績を踏まえ、26年5月期売り上げ予想を97億円(前期89億円)に引き上げた。堀岡宏至社長は、
「現在1都1府30県下65店の各店長のほか、九州・中四国・中日本・東日本の4エリア体制の各エリアマネジャーが意見を集約し目標設定。それぞれの店舗方針と行動指針を実践している。アルバイトで採用する社員は当社で扱う商品が好きで入社してくれた。好きだから商品知識は高い。どこにニーズやトレンドがあるのか。現場の判断や自主性を尊重し、任せる意識を大事にしている。スタッフ全員がそれにしっかりと応え、業績を支えてくれている」
少子化と逆行し、ここ数年拡大傾向にある玩具の市場規模は24年度で1兆99 2億円と過去最高を更新(日本玩具協会)。背景には玩具を楽しむ大人〝キダルト層〟の拡大や日本のアニメや漫画を好むインバウンド層の需要があるといわれる。買い物を楽しみにやってくる来店客の動向を読み、接客に工夫し、仕入れを考え、しかるべき手を打つ。
超現場主義で人材育成に成果を挙げており今34期決算が大きな踏み台になりそうだ。
感謝と祈りの道
決意表明から8年半をかけて成就。熊野筆製造販売の広島筆産業(安芸郡)社長の城本健司さん(64)は2025年をもって、全国の「一の宮」106社全てを参拝した。
一の宮は平安〜鎌倉初期に整った律令体制下で諸国にある格式高い神社。出張や土日をフル活用し、多忙な日々の合間を縫ってやり繰りしたが昨年の時点で10社を残した。新年の誓い通り、宮城や岩手、山形などに続き、ラスト12月に沖縄の琉球国(りゅうきゅうのくに)の波上宮(なみのうえぐう)、北海道の蝦夷国(えぞのくに)の北海道神宮を参り、念願をかなえた。
「日本列島の北から南まで感謝と祈りの道を歩み、私にとって大きな節目となった。何かを祈願するというより心穏やかに過ごせる日常への感謝に手を合わせた。さまざまな判断が求められる経営も平常心があってこそ。今年は熊野古道を巡り、四国のお遍路さんにも挑戦したい」
1881年創業から7代目になる。伝統を尊び、敬う心は社業発展の礎なのだろう。
プロ人材求む
創業から135年続く森信建設(中区富士見町)は、都市部の複業プロ人材と地方企業をマッチングするサービス「チイキズカン」を通じ、昨年12月から採用戦略のパートナーを募っている。
2012年にグループホーム運営へ新規参入以来、今は4施設を直営するほか、新事業も検討中。昨年9月に前社長の森信秀樹さん(72)から長男の秀一郎さん(41)へ社長交代。次世代の組織体制づくりへ積極的な人材投資に取り組む。秀一郎社長は、
「従来型の求人手法だけでは当社の理念や仕事の魅力を十分に伝えきれない。採用に関する年間計画や戦略の立案、ブランディング、選考フローの構築、面接設計、候補者体験の最適化まで、経営と並走して求人を担ってもらうプロ人材の知見を取り入れたい。どんな仲間と働くかが会社の未来を決める。歴史と実績を再定義し選ばれる会社にしていく」
本年度は叡啓大学の「ひろしまバリューシフトプログラム」にも参加し、自社の課題解決に大都市の専門人材の力を借りる。DX分野の人材1人を半年間受け入れており、業務変革を図る方針。