巻頭特集 2026.03.24

バスケチーム型経営論 時間と確率で組織を動かす

広島ドラゴンフライズ / 浦 伸嘉 社長

リーダーに求める資質は。

 統率力が最重要です。社長の力量以上の組織にはならないという原則があります。バスケでも同様。30人が指示から0・5秒で同じ目標に向かって動ける組織なら、仮に目標が間違いでも即座に修正できます。また、エースほど規律を厳しく適用します。例外を許した瞬間に文化は崩れる。戦略・戦術は外部から補完できますが、統率力だけは内部で育てるしかありません。目標設定ではオーバーポテンシャルを意識します。本人の力の120%を要求。営業1年目にはアポイント100 件、10年のベテランには成約10件と能力に応じて同等の負荷がかかるよう調整し、異なる評価軸で競争させる。個人の能力が平均的でも、誰と誰を競わせ、組ませるか次第でチームの成果は大きく変わる。編成の妙こそがリーダーの腕の見せどころです。

参考にするチームや企業は。

 最も参考にしているのはNBAのマイアミ・ヒートです。パット・ライリー社長が1995年から、エリック・スポールストラHC(監督)が現場トップとして2008年から同じ体制を継続しています。哲学を共有するトップが組織に居続けることで戦術、文化、価値観が蓄積され、選手が入れ替わっても強さが再現される。組織の強さは人ではなく仕組みに宿るという経営の本質を体現しています。NBAはチケット、放映権、スポンサー、グッズ、アリーナ収益まで全て数値で可視化し、ビジネスとして精緻に設計されています。日本のプロスポーツはまだチケットに頼る興行の域を出ていないクラブも多い。しかし満員のアリーナという状態が全ての要素を押し上げるという構造は、スポーツビジネスの普遍的な原理です。この発想で事業を設計することが、持続的な成長につながると考えています。

チームの数値目標は。

 売上高50億円を大きな目標とし、26〜27シーズンまでの20億円到達を中期目標に設定しました。スポンサーは現在の300〜350社、平均単価160〜170万円を500社200万円へ引き上げ、スポンサー売り上げ10億円化を計画しています。ファンクラブは現在の7000人から1万人へ増強を狙う。いずれも来場者のセグメントデータや購買行動と連動させた数値根拠があります。これらは全て50億円からバックキャストで導き出しています。今期何をすべきかは逆算で決まり、目先の数字に引っ張られない。この思考が組織をぶれさせない経営の基本です。

グリーンアリーナ移転の狙いは。

 現在のサンプラザは最大4500席で平均来場者は約4200人、ほぼ満員の状態が続いています。まずここで全試合完売を達成することが最初の目標です。その上で最大6500席のグリーンアリーナへ移行したい。市中心部からのアクセスが改善し、平日仕事帰りの新規需要を取り込めると見ています。席数を増やすことが目的ではなく、需要を超える供給を生み出すことで次の成長ステージに入れる設計です。スポーツビジネスで最大の価値は満員です。チケットが簡単に手に入らない状態をつくることが、あらゆるKPIを動かす最上位の指標です。グリーンアリーナの常時フルハウスを目指して頑張ります。

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PROFILE
浦  伸嘉 (うら のぶよし)

浦 伸嘉 (うら のぶよし) 1980年10月1日生まれ、広島市出身。美鈴が丘高校、大阪商業大学を卒業し、新潟アルビレックスなどでプロバスケットボール選手としてプレー。2007年に現役引退し、16年から現職。20年にNOVAホールディングスへのM&Aも経験。

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