広島ドラゴンフライズ / 浦 伸嘉 社長
「確率」はどう生かしていますか。
社会人をプロと定義するなら、評価は結果のみです。10点取ろうと思って3点では試合に出られないように、アポイント100件が目標で80件なら未達。逆に、アプローチに創意工夫の余地を残すため、プロセスへの口出しはできるだけ控えます。米国NBAのスター、ステフィン・カリーは教科書通りのフォームでシュートを打つとは限らない。しかしスリーポイントを高確率で沈めるから評価される。毎日練習していても結果を残さなければ評価しない。それが言い訳のない組織をつくります。
また、集客データを分析すると、思い込みと現実の乖離が見えてきます。学生を無料招待すると喜んでくれて満足するのですが、10代の競技経験者のリピート率はほぼゼロに近い。一方、普段声が聞こえてこない30〜60代女性は、実はリピート率が高いというデータがある。感覚ではなく情報で認識を修正する。この積み重ねが判断の質を底上げします。
組織づくりの要諦は。
集団と組織は違います。強いチームも企業も組織として動く。①明確な共通目標、②忠誠心、③情報共有、④結果を残すリーダー、⑤良いルールとマニュアル、という五つの要素が機能して初めて組織になります。中でも情報共有は生命線です。ビジネスは良い情報は速く伝わるが、悪い情報は遅れがちです。しかし正しい情報が集まらなければリーダーは正しい判断ができない。ネガティブな情報も中立的に素早く共有する文化をつくらなければなりません。あいさつの徹底を基礎行動として制度化しているのも、コミュニケーションエラーは必ず小さな習慣の乱れから始まるという原則からです。

ルールとマニュアルを使い分けると聞きました。
ルールは守りで、マニュアルは攻めと捉えています。ルールはバックオフィスに厳格に適用。人事、財務経理、総務はいわば組織のディフェンスです。当社では2000円以上の支出は事前稟議を義務付け、細則と罰則を明文化して運用しています。工数が増えることで社員が自然とコスト意識を持つ効果もある。守りを固めることが、攻めに集中できる土台を作ります。
マニュアルは攻めの再現性を高めるもの。フォーメーションのようなもので、誰が入ってもお互いが生きる仕組みをつくる。チケット回収の手順、場内の動線、設営の配置まで写真付きで標準化し、担当者が代わっても同じ品質のサービスを提供できるようにしています。バックオフィスに自由を与えると統制が乱れ、営業にルールの縛りを与えると創意工夫がなくなる。守りと攻めを明確に使い分けることが組織設計の核心です。
PROFILE
浦 伸嘉 (うら のぶよし)
1980年10月1日生まれ、広島市出身。美鈴が丘高校、大阪商業大学を卒業し、新潟アルビレックスなどでプロバスケットボール選手としてプレー。2007年に現役引退し、16年から現職。20年にNOVAホールディングスへのM&Aも経験。