地域経済 2026.04.24

水産のファームスズキ 干出できる養殖いかだ開発 カキ大量死対策や生産安定化へ

 カキ大量死が問題となる中、水産のファームスズキ(大崎上島町)はカキを海面上に露出させて体力強化や付着生物の除去、酸素不足とストレスの緩和を図る「干出」機能を組み込んだ新型いかだを開発した。6月ごろに試作機を制作し、広島湾と大崎上島で実証試験を予定する。

 国内で主流の垂下式は、いかだから海中へと貝を深くつり下げるため、干出工程ができなかった。新型では垂下式をベースに、複数の養殖カゴと軸を連動させて効率的にカゴを浮き上がらせる構造にした。太陽光発電と組み合わせた自動化機構の開発も進める。日本と同じ垂下式が一般的な地中海でも約3年前から夏場の高水温による大量死が問題視され、シーデューサー社(仏)と共同開発。「KUROFUNE」と名付けた。ファームスズキは特許取得と販売を担い、県内企業に製造を依頼する。

 従来の骨組みは劣化しやすい竹製で、その下に配置する円柱型のフロート(浮き具)は砕けて海に散らばりやすい発泡スチロール製が大半だ。このため、基本構造にグレーチング(格子状の金属)やH鋼を採用。フロートは耐久性の高い素材や植物由来樹脂を候補に検討している。カゴ部分にはリサイクルプラスチックを予定。売価の想定は2000万円以上と従来の4〜5倍だが、耐用年数も同じくらい延びるという。

 クラウドファンディングで試作機の制作費を調達する計画。実証試験には地元漁協の生産者の協力を取り付けている。鈴木隆社長は「食糧自給率の低さを直視するべきで、若年層の新規就業を促すためには機械化や人工採苗への転換が鍵を握る。大企業による設備リースや共同出資で補う仕組みにも期待したい」と話す。

 同社は大崎上島町の塩田跡10万平方㍍に海水を引き込み、広くて底の浅いカゴの中で密集させずにエサを行き渡らせながら養殖している。

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