巻頭特集 2026.03.24

バスケチーム型経営論 時間と確率で組織を動かす

広島ドラゴンフライズ / 浦 伸嘉 社長

 2024年にBリーグを初制覇し、25年にはアジアチャンピオンとなった広島ドラゴンフライズ。25年6月期の売上高は17億5000万円と、浦伸嘉社長の就任後に14・5倍へ成長した。下部リーグから国内トップクラスへ押し上げた浦社長が唱える「バスケットボールチーム運営型企業経営論」について聞いた。

提唱した経緯を教えてください。

 選手として体で覚えた感覚が、経営の言語と重なった瞬間がありました。0コンマ何秒の判断ミスが勝敗を分ける競技で、最高の確率を引き出しながら組織を動かす。引退後に起業してから、企業経営とバスケに通じるものを感じました。スポーツは結果が全ての世界です。プロセスへの言及はアマチュアや育成段階まで。この思考を企業に持ち込めば組織は強くなるという確信を体系化したのが同経営論です。

この経営論の核心は。

 時間と確率の二つです。バスケは1000分の1秒まで数値化される競技で、ルール上は残り0・3秒あればシュートを打てることになっています。例えば残り5秒あれば、1秒で打って次にどうすると考えるわけです。企業経営も時間感覚が結果を大きく左右します。一定以上の経営層はお金より時間を大切にしており、1時間で1000万円を稼ぐ経営者は、その時間を短縮できるなら500万円を投じる。時間の価値を数値で語れる組織は、それだけで意思決定の質が上がります。

 バスケのフィールドゴール成功率なども同様に数値化します。約5割ではなく47・2%などと言える精度が戦術選択の根拠になる。0・1%でも高い人に決定打を任せるのです。経営でも回転、成約、利益、離職率などを千分率(パーミル)まで追う数値感覚が大切。こうした小さな数字の積み重ねが大きな経営の差になっていきます。

「時間」への取り組みは。

 他人の時間を奪わないことが興行における最高のホスピタリティーだと考えています。ブースター(観客)駐車場の待機時間からチケット回収にかかる秒数まで全てを削減の対象として設計。入場のストレスが1人1秒減るだけで、試合への集中度や満足度が上がり、リピーターを生む土台となります。社内でも同じ発想を徹底します。相手の時間を突然奪う上に、時間がある際にしか対応できない電話を減らし、返答期限や選択肢を明示したチャットやメールで意思決定のサイクルを速める。連絡遅延を許容する文化は、経営判断の遅れに直結します。

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PROFILE
浦  伸嘉 (うら のぶよし)

浦 伸嘉 (うら のぶよし) 1980年10月1日生まれ、広島市出身。美鈴が丘高校、大阪商業大学を卒業し、新潟アルビレックスなどでプロバスケットボール選手としてプレー。2007年に現役引退し、16年から現職。20年にNOVAホールディングスへのM&Aも経験。

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