孤独な決断
トップに欠かせない決断力。右か左か、岐路に立たされて瞬時の判断を求められることがある。いったん決すると、やり抜く実行力が試される。「どす黒いまでの孤独」と首相の座を表現した政界長老もいた。岸田さんはどうだったろうか。2021年から2期通算1094日にわたり国家のかじ取りを担った。2月8日に広島市内ホテルであった政治資金パーティーで当時を振り返り、大いに沸かせた。「在職時にはデフレ経済からの脱却や成長と分配の好循環を促し、昨年の春闘で33年ぶりに賃上げ率5%を超えた。安保3文書を改定して反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有などを明記したほか、原子力発電の活用を含めたグリーントランスフォーメーション、日韓関係改善など、歴史的な転換を実現したと自負している。ウクライナに訪問し、戦後の総理で初めて戦地へ足を踏み入れた。どれも孤独な決断だったが、未来に評価されると信じている」 果たして再登板はあるだろうか。
独りで悩まない
犯罪に遭った被害者の心の傷は深い。そうした人の孤立感を和らげ、寄り添うボランティア活動を続けてきた(公社)広島被害者支援センター(中区紙屋町)が昨年2月に設立20周年を迎え、今年1月に記念特別号を発刊した。本格的に業務を始めた2005年度と23年度の相談件数を比較すると、電話相談は218件から543件に急増。面接相談は11件から37件、直接支援は18件から46倍強の830件に上った。18年間では延べ1万2839件を数える。山本一隆理事長は、「心に傷を負った被害者らが安心して援助を受けることができるのも、ボランティア活動員をはじめ会員ら多くの関係者の協力でやってこれた。感謝に堪えない。今年から21年目に入ります。初心を忘れず、よりきめ細かな支援に徹したい」同センターなど県内16団体が参加する広島県共同募金会の社会課題解決プロジェクトを通じ、3月末まで募金活動への協力を呼び掛けている。24年4〜12月の電話相談件数は性的被害を筆頭に財産的被害、交通被害・事故などで433件を数える。公判付き添いなどの直接支援は515件。独りで悩まないでほしいと話す。
デイリー好調
本通商店街の市町村情報センター「ひろしま夢ぷらざ」でも、一時は店頭からコメが消えた。今は精米し立てが毎日店頭に並ぶようになり、好調な売れ行きという。コメを買い求めるリピーターも増え、5㌔入り2袋を一括購入するケースも。産地の〝売れる商品〟づくり支援にも余念がない。高本統夫店長は、「定番のコメに加え、2022年9月の大規模リニューアルを契機に地元に根差したパン屋さんの食パンもラインアップし、弁当や総菜、日配品といったデイリー性の高い商品を拡充してきた。土産や贈答用との両輪で、客足の絶えない店づくりに知恵を絞っている」県内産品の紹介・販売だけでなく、新たな販路開拓も成果を上げている。商談会でバイヤーの目に留まった「おさつロング」は1月に大阪・梅田の阪急百貨店にお目見え。耕作放棄地でカキ殻などを肥料に栽培した江田島産さつまいもを薄くスライスして揚げたスナックで、見た目のインパクトとも相まって上々の手応えとか。夢ぷらざは来期で初の6億円乗せを目指し、接客に品出しにメンバー全員の手は休む間がない。
財務局と合同勉強会
中国財務局と中国地区信用金庫協会は1月27日、職員合同勉強会「サイバーセキュリティ対策の強化」を市内ホテルで行った。財務局13人、中国地区の信用金庫職員ら51人( 内オンライン14人)が参加。金融庁の柳瀬護審議官が「サイバーセキュリティ管理態勢構築における経営陣のリーダーシップ」を講演。「人材確保・育成」、「サードパーティ等の管理」、「リスクベースアプローチ」のグループワークも行った。財務局は、「昨年10月に公表された金融分野のサイバーセキュリティに関するガイドラインを踏まえ、テーマを設定。2月14日には中四国の信用組合職員36人、財務局職員ら16人の事業承継勉強会も開く。経営支援のスキル向上につなげてほしい」
地域ブランドに挑む
設立メンバーのキャンプ好きが高じたという。ウェブサービス開発のインタードリブン(福山市)は1月、瀬戸内地域のものづくり企業が手掛けるアウトドア用品の総合ブランディングや新製品の企画開発を行う新ブランド「STELLA CRAFTS(ステラクラフト)」を立ち上げ、同名の通販サイトを開いた。新規事業としてキャンプ用品の開発・製造に取り組む企業の多さに着目。サイズ感や材質、デザインなど細部にこだわった寝袋、トートバッグ、ミトンなどを集めた。各社の製品を統一ブランドで統合し、プロモーション展開する。メーカーと共同開発する限定品を含め、今後ラインアップを拡充。売り上げに応じた手数料を受け取る。大手通信会社で身に付けた本業のブランディングやマーケティングの知見を生かしSNS発信に力を入れる。桑原正光社長は、「福山エリアには繊維・デニム、府中家具といった優れた技術や製法が集積している。しかし控えめな県民性のせいか、外へ向けたアピールがやや苦手な印象。サイトは商品のほか、参画企業各社の強みなどを紹介するページを設け、クラウドファンディングの企画立案も支援する。ゆくゆくはキッチンツールで有名な燕三条のように地域ブランド化していきたい。海外市場も視野に入れている」
地域を照らす
非破壊検査のウィズソル(西区南観音)はSDGs活動の一環で本社近くの南観音小学校とタッグを組み、2月10日の朝に6年生155人と一緒にプランターに花を植え、社屋から学校に至る約100㍍の道路に並べたほか、ソーラー電池で光る照明を設置。「シャイニングロード(光る道)」と名付けた。同社から新本康弘会長ら約20人が参加。グループで技術者派遣の理工サービスも駆け付け、白い息を吐きながら作業に励んだ。新本会長は、「同小学校との共同活動は今年で3回目。より地域を明るく華やかにしたいと子どもたちと相談し、花のプランターと合わせて照明を設けることになった。回数を重ねたことで住民からも活動を知ってもらえるようになり、学校へ匿名の礼状が届いたと聞いている。継続する価値があると改めて感じています」