未来の広島をけん引するトップリーダーの育成を目指す広島青年会議所は1月15日、市内ホテルで新年互礼会を開いた。現役会員やOBに加え、行政や経済団体関係者など約200人が参加。林秀樹理事長(山崎本社社長)は、「私たち会員一人一人の力は微力で、自分だけでは実現できないことに挑戦するには多くの仲間が必要です。だからこそ基本理念に掲げた、相手の心をつかむ〝士魂〟と、経済人としての才覚で納得感を得る〝商才〟を磨き、このまちを一歩でも好転させる運動に結びつけていく」資本主義の本質を見抜いた渋沢栄一は「論語と算盤」で志と商才の一致を説いた。来賓の湯崎英彦県知事は、「県の活性化や女性の労働環境整備へ、今年を男性が積極的に家事を担う『男性活躍元年』にしたい。家庭内で男性の家事育児時間が長いほど、出生率が高いというデータもある。皆さんにはぜひ社会と同時に家庭内でも存在感を発揮して、新しいらいたい」3年連続して転出超過数が全国最多を記録。男性活躍で人口減に歯止めをかけたい。

不況、人手不足、物価高などの影響をかぶり、倒産が高水準で推移。帝国データバンク広島支店調査で2024年の県内倒産件数(法的整理・負債1000万円以上)は前年比約3割増の200件。22年の106件からほぼ2倍に増えた。借入金を返済できなくなったとき金融機関が信用保証協会に請求する「代位弁済」は倒産件数と相関が深く、24年は10月を除く全ての月で前年を上回った。コロナ対策で行われた実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済が23年から始まり抑制されていた倒産が表面化。コロナ前水準(19年190件)に戻った。広島支店の土川英樹情報部長は、「今年も慢性的な人手不足がサービス価格をさらに押し上げ、値上げラッシュが常態化する見込み。賃上げや物価高を前提とした経営が求められる。幅広い業種で倒産が増える懸念が強まっている」トランプ大統領の政策がどう影響するのか新陳代謝、優勝劣敗が加速するという。

画像処理解析ソフトなどを開発するイノテック(南区金屋町)創業者の伊藤賢治さん(62)は昨年12月、社員の藤村嶺さんに全株式を売却し、社長交代した。同社は、マイクロソフト主催のイノベーションアワード最優秀賞やニッポン新事業創出大賞優秀賞などの受賞歴があり、伊藤さん個人も「ものづくり日本大賞」経済産業大臣賞に選ばれた。事業承継を終えた安堵感と同社を去る寂しさもにじませながら苦楽を振り返った。「29年間経営にまい進し、リーマンショックやコロナ禍など困難は多かった。しかし給料入金を待ってもらったことは一度もない。工業用の画像処理解析というコア技術をフル活用し、医療関係など新分野に挑戦した。開発は一筋縄ではいかないが諦めず成功するまで続けた。社会の変化や技術革新が激しく、若い人に託す方が会社のためになると決断した。新社長は誰よりも責任感が強く、プログラマーとしても優秀。30代半ばで、まさに伸び盛り。新境地を切り開いてほしい」伊藤さんは資本関係のない別会社アイセレックスの経営に専念し、DX支援やAI活用の幹細胞品質評価などを手掛ける。今6月期売り上げ1450万円を予想。家族に異変を通知する対話アプリで高齢者を見守る構想も描く。

化粧筆を主力とする熊野筆製造販売の竹宝堂(安芸郡熊野町)はオンラインショップで1月8日に発売した、希少性の高いイタチとコリンスキー、カナダリスの原毛を使った1本4〜5万円のチークブラシ限定50本を即完売した。今後も引き続き、高品質な化粧筆ニーズに応えていく計画。竹森臣社長は、「景気低迷などの影響を受け、化粧筆の売り上げはやや伸び悩んでいたが、やはり質の良い天然毛を使った化粧筆の良さを知る人が多いことを改めて確信した。原毛は品薄で高価格の上、量産は難しいが、こうした高級志向の需要層にしっかり応えていきたい」全国の伝統的工芸品産地でも原材料が十分に確保できなくなっているという。伝統を継承しながら良いものをつくっていく志は不変だが、時代に合わせた原材料基準の見直しが必要な時期に差し掛かり、伝統工芸の担い手が集結し知恵を出して合っていく予定とか。

企業を標的にしたランサムウエア(身代金要求型ウイルス)などの被害が相次ぐ。大企業向けクラウドサービスのドリーム・アーツ(中区大手町)が昨年11月に行った調査で、経営層の約7割が自社セキュリティー対策に自信を持っているという結果になった。従業員1000人以上の企業経営層や情報システム部の計500人にインターネットで聞き取った。9割超が「対策は十分」、「おおむね十分」と回答。しかし直近1年でメールの誤送信をはじめランサムウエア攻撃、マルウエア(悪意があるプログラム)感染、不正アクセスといった脅威を経験した人は63%に上った。石田健亮最高技術責任者は、「半数が実際にはほとんど普及していない、計算中のデータの暗号化ができていると答えるなど、知識不足や根拠のない慢心が明らかになった。手口は年々高度化しており、できることは全てやる姿勢でないと会社を守れない。事故を包み隠さず共有し、学びを得られる組織文化の醸成も欠かせない」同社は昨夏、社長直轄の「セキュリティ委員会」を発足。自社サービスの安全性や信頼性を高める。

企業、働く人にとって、ゆるがせにできないデータがある。うつなどの精神障害による2023年度の労災支給決定件数は前年から173件増え、883件(厚生労働省)。過去最高だった。同年9月の認定基準改正の影響もあり、今後も増えると予想されている。海外の生活困窮者への支援活動などを目的とする(社)主炎(北広島町)は1月18、19日、ミュージカル「エクソーダス」を中区の県民文化センターで公演した。エジプトで奴隷にされていたヘブライ人(ユダヤ人)たちをモーセが解放する物語。市内で30年以上劇団を運営するA COMPANY(安佐北区)のほか、劇団四季や宝塚歌劇団出身の役者ら50人以上が出演。2日間で延べ1000人近い観客を集めた。収益の一部を国際援助に活用するという。萩原ミミ理事長は、「近年は会社や社会に閉塞感を感じ、生きづらさを抱えて心を病んでしまう人も多い。命をかけて自由を勝ち取る物語を見て、自分らしさを解き放つきっかけになれば」企業経営者は職場環境に心を砕く、より細やかな目配りが求められている。

ガリバープロダクツ(中区)が発行する子育て情報誌「ファンファンファン」が今年10月、創刊30周年を迎える。「広島に知人がいないため子育ての情報が得られない」という母親らの声を受け、発刊に踏み切った。当初は1回限りのつもりだったが思いのほか好評で年2回、季刊と増えていった。商業施設で定期開催するオーディションで表紙モデルを選ぶなど、独自の取り組みで読者の心をつかむ。母親の悩みに耳を傾け、乳幼児を受け入れるオープンスペースの紹介コーナーなどを企画してきた。大森富士子専務は、「地道に読者の声に応える姿勢が支持されたのだと思う。子どもが楽しく元気に育つ広島と言われるよう頑張ります」読者の利便性向上へデジタルも活用。イベント情報検索アプリのイベンティアと連携し、ファンファンファンのほか、女性に役立つ病院を紹介する書籍「ホスピタルガイド」の一部情報もスマホで見られるようにする。読者との接点を増やし、広告主の拡大も狙う。

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