死に物狂い
何しろ世界を見据えており、死に物狂いで老舗の家業を立て直したという4代目社長の志と気構えが凄い。広島商工会議所は11月26日、セレクトショップ「パリゴ」などを運営するアクセ(尾道市)の高垣孝久社長を迎えて講演会「日本初ワールドクラスのディスティネーションストアの創造」を市内ホテルで開いた。1925年に衣料品雑貨小売商「高垣大安店」を開業以来、来年で100周年を迎える老舗がたどった盛衰の歴史が興味深い。戦後に繁盛したものの、一転して父の逝去から始まる18年連続赤字の苦境にぶつかる。その後に社内風土の改革を機に上昇気流に乗せた経過などを特有の経営観を交えて語った。「私が入社した頃、わが社は困窮を極めていた。前職のサントリー時代に学んだマーケティング戦略やデータ分析などを駆使し、死に物狂いで会社の建て直しに立ち向かった。2016年の売り上げ不調をきっかけに経営方針を一新。社員が自由に意見を出すボトムアップの社内風土を構築したことが、新店の好調につながっている。ヨーロッパを旅し、感銘を受けたパリのセレクトショップ〝コレット〟のように、われわれのファッションアイテムを求めて世界から多くの人が訪れてくれるよう、店づくりに全力を傾けます」尾道の商店街から巣立ち、昨年11月に東京の麻布台ヒルズに旗艦店を進出したほか、今は首都圏や中四国へ9店舗を展開する。気迫と経営技術が見事に融合したのだろう。
ノーベルに採用
商品企画などのソアラサービス(中区広瀬北町)は、平和をテーマにした自社ブランド「アースヒロシマ」がノーベル平和センター(ノルウェー)の売店に採用された。日本被団協のノーベル平和賞受賞を受けて関連商品を探していた同センターの担当者の目に留まった。12月10日の授賞式に合わせ、折り鶴をイメージしたジュエリーや折り鶴再生紙を使ったノート、アロマディフューザーなど10種が並ぶ予定だ。同ブランドは、地場製造業とクリエーターを引き合わせてものづくりの持つ力や技、高いデザイン性を打ち出す。将来は参画企業を300社規模に広げる構想を描く。岩本かさね副社長は、「ブランドのコンセプトに共感していただけた。これまで県内の土産店が主だったが、被団協の受賞を機に各国の平和施設などに販路を拡大していきたい」アルファベットや数字を折り鶴で表現した同ブランド独自の「折り鶴フォント」は来春から全国の中学校で使われる書写の教科書へ掲載が決まった。戦火が絶えない今だからこそ、さまざまな形で力強い平和のメッセージを届けてほしい。
ビーテックが新社屋
機械商社のビーテックは11月1日、西風新都の安佐南区大塚西に新社屋を着工した。来年9月に中区大手町の現社屋から移転する予定。垰田実社長は、「2000年に50周年事業で地下1階地上6階建ての現本社ビルを購入。ビーテックサービス、システム計装(本川町)のグループ会社を含め、省エネ診断・サポートなどの新規事業もあり、手狭だった。階を行き来する部署ごとの仕事となってしまうセクショナリズム解消のためにも、フリーアドレス性を導入し、執務室を広いワンフロアに集約。部署や会社間の連携を促していきます」5年前まで女性営業社員はいなかったが、ここ数年増員し、現在グループ内で6人に。今回の移転を機に組織の見直しや女性の管理職登用にも積極的に取り組む方針。今年春には中国の合弁会社大連ビーテックが広州営業所を開設するなどの新たな事業展開も図っている。
安心のリフォーム
勤めていたリフォーム会社が倒産したとき、担当していた工事中の仕事を放り投げ、逃げ出すことはできないと覚悟を決め、マエダハウジング(中区八丁堀)を起業。以来31年間、隅々まで手を抜いたことはないと言い切る。10月31日付で(財)ベターリビングから「リフォーム業務品質審査」の最高評価を受けた。中四国で初めて。業務体制や重要事項の説明など14項目の全てが満点だった。前田政登己社長は、「リフォーム業界は今なお、どこに施工を頼めばよいのか、どのように話を進めていけばよいのか、多くの人が戸惑っているという話を耳にします。少しでも参考になればと、客観的な視点でまとめたリフォーム雑誌の発行や市民講座などで丁寧な解説に努めてきた。国土交通省登録の財団から最高評価を頂き、素直にうれしい。他社にも審査が広まり、不安からリフォームをためらっていた人が安心して業者を訪れることができるよう精を出します」最近は個人宅を狙う広域窃盗団の事件が発生し、防犯リフォームの相談が急増。鍵の取り換え、シャッターや二重窓、モニター付きインターホンの設置などが効果的という。
家は持てる
持ち家を諦めるのはまだ早い。中古物件のリノベーション事業で10年以上の実績があり建物診断・改修を手掛けるテクシード(東区戸坂新町)の奥河内史明常務は、特に30代子育て世代向けに〝今あるもの〟を有効に生かすと、わが家を持つことは十分可能と言う。「新築は資材や建築費が高騰し、デフレが続く中、収入は増えず、持ち家は不可能と思っている人が多い。当社が手掛けるリノベは10年前に中古マンションが大半だったが今は6割以上が中古の戸建てで、実家のリノベが増えてきた。共働き世帯の増加で母親の両親に育児を頼るケースが多く、二世帯で住めるリノベ需要が年々高まっている」賃貸から持ち家に移る契機となる子育て世帯に「自分の家を持つことができる」ことに気付いてもらい、大工の職人の技が光るリノベを丁寧に広げていきたいという。
ツリーをともす
グランドプリンスホテル広島(南区元宇品町)はクリスマスシーズンに合わせ、高さ約4・5㍍のツリーを1階ロビーに飾り、来館者を和ませている。毎年オーナメントを替えて〝SNS映え〟すると好評という。地域貢献の一環として元宇品保育園の年長16人を招き、11月8日にツリーの点灯式を催した。昨年に続き2回目。保護者らがカメラを片手に見守る中、サンタクロースの衣装をまとった子どもたちが登場。サプライズゲストでチチヤス(廿日市市)のマスコットキャラクター“チー坊”も参加し、園児たちの掛け声とともにクリスマスツリーに輝きをともした。「みんな満面の笑顔でした。子どもらが喜ぶ企画にしたいとチー坊に声を掛け、大いに盛り上げてくれました。コラボ商品の企画にもつながり、12月1〜25日の期間限定でバンズに乳酸菌飲料を配合したハンバーガーセットや、チー坊レモンスカッシュなども販売します」(同ホテル)