「まちの文化拠点」の役割も果たしてきた書店が次第に姿を消している。書店振興プロジェクトを立ち上げた中国経産局は10月3日、学生や経営者ら幅広い年代の5人を招き「書店と地域の未来を語る座談会」を開いた。若者の読書離れが言われる中、STU48の迫姫華さんは、「電子書籍は便利だが自分で書いている小説は本にしたい。本は手に取りページをめくる面白さがある」日本一短い感想文コンクールなどのイベントで情報発信する啓文社の手塚淳三社長は、「昔はよく文学作品を読めと言われたが、今は聞かれなくなった。情報を得るならデジタルでもいいが、付箋を付けたり、余白に書き込んだりしながら自分の宝物にもなる本の良さ、物としての価値も伝えたい。書店が生き残るには地域の人たちに足を運んでもらえることが重要。書店、本の魅力を高める取り組みを続けている。若い人に影響力のある有名人に本の魅力を発信してもらうなどの働きかけが有効だと思う」根っからの本好きというオタフクホールディングスの佐々木茂喜会長は、「書店の復興は、ビジネスとして頑張るだけでは難しい。子どもの頃に絵本を読み、文字を覚える。幼稚園・保育園や学校と連携し、本の楽しさを伝える。企業は福利厚生の一環で図書費を補助するなど、本と親しむ機会を創り出す。周囲を巻き込み、本を読む文化を育む取り組みが大切ではないでしょうか」読む力、考える力を養う本の力を失ってはならない。

2月のランサムウエアによる前代未聞のシステム障害を受け、ようやく復旧から復興の道のりをまい進するイズミ。8月中間決算の営業収益は前年割れの3〜5月に対し、過去最大規模の785億円で買収した西友九州事業で6〜8月に挽回し、2・3%増の2386億円を計上。西友(サニー)69店舗の承継を踏まえ、山西泰明社長は、「サニーは九州最大マーケットの福岡市内に41店舗を配し地元の支持がある。下期はM&A後の統合プロセスPMIを着実に遂行。経営や業務統合に増して企業風土や文化を醸成する意識の統合を何よりも重視している。地域に根付くサニーのブランドを尊重し維持していきたい」今冬にサニー九大学研都市店オープンを予定。サニーのシステムを基本に来春以降、統合を本格化する。

3年連続の転出超過全国ワースト1位から脱却へ、いかに広島へ企業を誘致し、人口を増やすのか。県商工労働局の県内投資促進課は10月10〜12日、全国の事業者向けに広島の魅力や豊かな可能性をアピールする講演会、交流会などのイベントを県内各地で開いた。11日。中区紙屋町のイノベーションハブひろしまCampsで「データで語る!広島の若者減少・転出超過問題」と題し、データサイエンス業を手掛けるピープルドット(東京)の堅田洋資社長が登壇。学生を含む約20人の参加者を前に、海外の地方都市の好事例も紹介した。「広島のデータを見ると、大学を卒業し就職する22歳の転出が最多と分かる。また流入の多い東京や大阪はIT・通信業の従事者が多い。米国テキサス州のオースティンでは、立地する大学がデジタルなどの高度人材を育成することでテック系企業が集積し、人口増につなげている」参加者はその後、他のさまざまなデータも基にグループ討議。むろん行政施策は重要だが、一人一人が広島の未来のために何ができるかを考えることが最も大切なのだろう。

マツダは「走る歓び」を感じてもらおうと、今年から始まった全5回の初心者向けモータースポーツ体験会に協賛。10月13日にTSタカタサーキット(安芸高田市)駐車場で4回目があった。「ジムカーナ・エクスペリエンス(体験)」と銘打ち、ズミーレーシングファミリー(神奈川)が主催。安芸高田は8月に続き2回目で、茨城の筑波サーキットでも3回開く。ジムカーナ競技は広い舗装路面で1台ずつコースを走りタイムを計測。車同士が衝突する危険がなく、比較的低速で走ることからモータースポーツ入門に最適という。当日はロードスター、CX-60といったマツダ車だけでなく、他ブランド車のオーナーなど30人超がエントリーし腕を競った。マツダ商品広報チームの有尾理主幹は、「参加者は全日本大会の優勝経験者のアドバイスも受けながら、繰り返し走って上達を実感できる。特別な車の装備や資格がなくても競技を楽しめると知ってほしい。ジムカーナは大型商業施設の駐車場などでも行えるので、来年は例えば災害を受けた能登でも開催し、地域を盛り上げられたらうれしい」

中国木材(呉市)と東亜建設工業(東京)は10月9日、間伐など森林の適切な管理を行うことでCO2吸収量をクレジットとして国が認証する「森林由来J-クレジット」創出に関する連携事業を発表した。中国木材が所有する熊本県球磨郡五木村(約262㌶)と奈良県吉野郡上北山村(約185㌶)で認定された森林経営計画は、8年間で2万3200㌧の森林クレジット創出を予定。この一部を東亜建設工業が購入・取得することで基本合意したほか、新規発行の調査、モニタリングも共同実施する。中国木材の堀川保彦社長は、「今回の販売収益で例えば、レーザードローンなど最新森林計測機器の導入を検討している。スマート林業から適切な森林管理・経営につなげることで、SDGs推進と地域創生実現に貢献したい」

広島経営同友会(三村邦雄会長=三村松会長)が10月7日に開いた第746回例会で、GO&DO篠原税理士法人の篠原敦子代表社員税理士が「相続対策を踏まえた事業承継」と題し、講演した。同族企業の株価は高額になりやすい。相続時の税率によっては、暦年贈与の非課税枠110万円を超えた額を毎年譲っていく方が節税になることもあるという。相続時精算課税や納税猶予制度はデメリットもあり、安易に使うべきではないと。「議決権の関係で、株式は社長を任せる後継者に3分の2以上を相続させるべきです。子どもたちに均等に譲れば争いの種をまくことになる。今は仲が良くても配偶者や家族の入れ知恵で態度が変わる例は多い。遺言が重要だが、遺留分(他の子どもの最低限の取り分)を現金で賄えるよう、社長候補者を受取人にした保険を掛けておく手もある。何よりも早いうちに後継者を決めて準備を進めることが大切です」後継者がいない場合はM&Aなどを通じて事業継続を図り顧客、従業員と家族を守ってもらいたい、とも。

子どもたちのためにと思いを込める。ヤクルト山陽( 西区福島町)は10月9日、大澤誠社長ら5人で児童養護施設・乳児院の広島修道院(東区尾長西)を訪れ、日用品などを贈った。翌日は似島学園(南区似島町)を訪れて寄贈式を行った。子ども虐待のない社会の実現を目指す「オレンジリボン運動」に賛同し2012年から毎年、ヤクルト商品売り上げの一部(一定期間)で児童養護施設などの子どもたちへ物品を贈っている。広島修道院では要望を踏まえて人生ゲーム2点、モバイルプロジェクター1点、チャイルドシート3点を選定。同社祇園センターマネージャー兼グループリーダーでもあるヤクルトレディの廣本直扶さんは、「私自身が2歳の頃から約10年間、東広島市にある児童養護施設の新生学園でお世話になったことがあり、オレンジリボン運動には強い思い入れがあります。約9年間、育児と両立しながら働いていますが、社内にはそうした母親も多く、子どもたちのためにと販売活動に精いっぱい頑張っています。これからも当社ならではの地域ネットワークを生かしながら、粘り強くリボン運動の輪を広げていきたい」

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