観光業に参入
異業種からの参入は何かと不安だが、専門家の助け、アドバイスがあれば心強い。県観光連盟(HIT)は、さまざまな観光プロダクトの新規開発やブラッシュアップに挑戦する各種事業者の協働を促す仕組みづくりに力を入れる。今春、観光事業者などをエリアパートナーに任命し、県内全市町に配置した。観光に関心を持つ事業者を集めたイベント「HYPPカフェ」(全20回予定)を各地で開き、専門家や事業者同士などの幅広い交流を促す。もっか多数の案件が進行中という。第1弾。北広島町大朝で林業を営むグッドスリー(大内良三代表)が11月、きこり体験プログラムを始める。既にあるチェーンソーなどの資源を生かした木の伐採、まき割りなどに加え、古民家での宿泊、五右衛門風呂といった子どもから大人まで楽しめる多彩なプログラムを組む。自然体験プログラム開発などのNPO湯来観光地域づくり公社の佐藤亮太理事長が企画などに協力した。HITの山邊昌太郎チーフプロデューサーは、「慰霊と鎮魂だけではない広島の多様な魅力を伝えるため、業種を超えて連携して新たなプロダクトを生み出してほしい。今年度に新設・リニューアルする200件全てでモニターツアーを行い、質も向上させる」
もはや教養
昨年2月に発足した、ひろぎんナレッジスクエア(中区)が運営する子供向けプログラミング教室「スタートプログラミング」に参加する生徒数が前年に比べて20%増え、軌道に乗せてきた。昨春、市内IT会社から同事業を譲り受けた。今年3月に五日市校、6月に広島駅前校を開き、今は6教室体制。紙屋町のひろぎんHD本社ビル1階のスペースで土日に各4回開く教室は早々と埋まり、第2教室を設けて定員を拡充。平日に通いたいという中学生などの需要に応えようと、6月から水曜夕方にも枠を広げた。福田寛治社長は、「プログラミングはもはや教養の一つ。さらに需要は増えると見込んでいる。ひろぎんグループの信頼をベースに、オリジナル教材と少人数指導が受け入れられているようだ」目標は10年後に20〜30教室体制。スペース活用へ、同行各支店からも開校要請がある。もっかスタッフの採用増と育成を両輪で進め、今後の新規開校に備える。
自転車チーム奮闘
カープの大失速は何とも悔しい限り。だが、今年の広島スポーツは強い。ドラフラに続きサンフレの戴冠が見えてきたほか、自転車チーム「ヴィクトワール」は7月に商工センターであった地元でのレース優勝に続き、9月の新潟でも1位となるなど好調が続く。7月のレースの冠スポンサーは、ヴィクトワールの支援も行う広島トヨタ自動車。マリーナホップ近くに移転したばかりの新本社で10月3日、自転車の運搬などに使う機材車の贈呈式を開いた。藤井一裕社長は、「パートナー企業として選手の移動に使うハイエースと乗用車の2台を提供しているが、どちらも自転車を中に載せられず管理に困っていると相談された。通常はかなりの納期がかかるところ、偶然にも社内に1台だけ貸与可能なハイエースがあった。車内架装とボディーのラッピングを1週間ほどで完了し既に6月に納車。少しでも好成績に一役買えたのであればうれしい」ヴィクトワールの中山卓士監督は、「自転車を雨風から守れるので整備の負担が減った。年間優勝に向け、これからの後半戦でさらに上を目指して走ります」
文具屋のベーカリー
多山文具(中区千田町)の5月期売上高は前年比20%増の約13億円を計上。多山拓郎社長が32歳で経営を継いだ2012年以降で最高だった。売り上げの約7割を占める法人向けで、オフィス家具や事務所リニューアルなどの大型受注が重なった。今期から外商部を法人営業部に改称。さらに法人向けを強化し、社内の意識改革と社外への認知拡大につなげる。構想を温めてきた異分野への挑戦もスタート。2月に中区の吉島病院近くにパン店「アニーズベーカリー」を開業。文具店のように仕入れた商品を売る事業だけではなく、自ら作ったものを顧客に直接届けたいという思いを実現させた。本業でつながりのある、ますやみそ、井辻食産のギョーザの具材、上万糧食製粉所の青きな粉など、地元に愛される食材でメニューも考案し独自性を出す。「文具は定番品が店頭に長期間並ぶが、パンは翌月になくなるものも多い。同じ小売りでも違う感覚だ。試行錯誤の真っただ中。しっかりと地域に根付き愛される店に育てたい」本業の底上げと新事業の効果で、今期も増収増益を目指す。
広島県民は楽天家
海と山に囲まれ、比較的温暖な気候で育った広島県民は好奇心旺盛で陽気な性格といわれるが、果たして将来の備えは万全か。メットライフ生命の2024年版意識調査によると、広島県は老後生活を不安視する人の割合が都道府県ランクで一番「少ない」という結果が出た。全国の男女20〜70代計1万4000人にインターネット調査を実施。広島は唯一の5割台(57・8%)と他を引き離し、老後の生活に不安がないと回答。不安に思う項目では「病気・ケガ・医療費」47・6%と全国で最も少なく、「介護・認知症」46・5%、「年金」43・9%はいずれも下から4番目だった。一方で「ボーナスを買い物や旅行で使いたい」人の割合は2番目に多く、今を楽しむ楽天家が多いことがうかがわせる。人生100年時代を迎え、不安のない暮らしこそ理想的。備えがあるから楽天的なのだろうか。
道の駅サンフレ応援
安芸高田市が設置する「道の駅三矢の里あきたかた」は、サンフレッチェ広島の応援機運を高めようとパブリックビューイングを続けている。もっか優勝戦線をひた走り、12月8日のガンバ大阪戦まで一段と熱が入る。道の駅内に大型デジタルサイネージを設置し、レンコン広場で観戦できる。10〜12月の湘南、京都、浦和、札幌戦も開催予定。参加無料で、フード、ドリンク持ち込み可。ホーム戦はピースウイング広島のチケットも在住・在勤・在学者限定で販売する。市政策企画課は、「サンフレッチェのマザータウンとして、昨年度から全試合のパブリックビューイングを行っている。ビアガーデンとの同時開催には330人が観戦。新たなファンを増やし、地域の元気につなげたい」