一途な政治家
いまの時代が求めているリーダーは私だ。2021年9月にあった自民党総裁選の出陣式で述べた、この言葉に驚いたという。岸田文雄後援会の伊藤学人会長(イトー会長)はその当時、「強く自分を押し出すようなタイプではないとずっと思っていた。誰に対しても人当たりがよく、これほど強い調子の言葉を聞いたのは初めて。昨年9月にあった総裁選に敗れ、この1年によほど大きな決心があったのではないか。目つきや身振りその姿勢に、国を背負って立つという気迫がひしひしと伝わってきた」伊藤学-学人の親子2代にわたり岸田家とのかかわりは深い。学さんは1983年から2005年まで後援会長を務めた。その後に一つ代を経て学人さんが後援会長を務める。岸田さんの総裁選不出馬の一報をどんな思いで受け止めただろうか。かつてこんな話をしてくれた。「衆院選で初当選後、毎週のように週末は広島に帰り1時間ほど街頭演説に立った。何しろ律儀で誠実。かつて大臣に就任が決まった折は朝一番でお見えになり、仏前に花を添えてもらった。決して偉ぶるところはなく、気さくに人の話をよく聞く。しかし一途なところもあるように思う。さまざまな起伏、波乱を経験したことが大きな財産になっているのではないか。いまの時代が求めるリーダーの使命を果たす、一途な政治家の真価を発揮してもらいたい。自分の考えをしっかりと押し出すところが段々と増えてくるのではないでしょうか」あたかも、この3年の動静を予想していたかのようだ。
広大のあの頃
中国地方で活躍する会社社長の出身大学ランキングによると広島大学は1076人で唯一、大台を突破。他の大学を大きく引き離す(東京商工リサーチ2021年調査)。各界各層に多くの人材を輩出する広大は8月22〜27日、福屋八丁堀本店7階で「あの頃」と題し、写真展を開いた。新制大学となった1949年を境に、最も古い前身校の設立と現在まで前後75年ずつ、合わせて150周年を迎えた記念事業の一環。69点の写真で歴史を振り返った。初日には越智光夫学長のほか、体育会同窓会の山根恒弘会長(ヤマネHD会長)、同窓生でつくる千田塾の山坂哲郎会長(バルコム会長)が集まった。越智学長は、「学内では同様の機会があったが、学外のこうした場で展示でき、うれしい。今後も周年事業を進め、大学をPRしていく」山根会長は、「63年の体育会設立に向け、当時の仲間と尽力した日々を思い出す。その後につくった同窓会は、新制大学化する前と後の卒業生をつなぐ役目を果たしたと自負している」山坂会長は、「高校生の頃、入学願書をもらいに東千田キャンパスの校門をくぐったことが懐かしい。多くの広大生、卒業生にあの頃の共感が広がり、ネットワーク強化の一助になれば」広島市から東広島市へ移転したが、今も消えることのない、多くの足跡がたどれる。
北広の匠ブランド
全国はおろか、県内でも知られていない町内産品の魅力をどう伝えていくのか。(社)北広島町まちづくり会社はなえーる、町観光協会や商工会の3団体は8月23日、「北広の匠」第1回ブランド認定式を開いた。技術と知識の特殊性や地域発展への貢献度などを基準に11団体を推薦しワイン、どぶろくなど酒6社のほか、神楽幕、日本刀、スピーカー、座椅子の町内各製造者、太田川のサーモン養殖事業者を匠ブランドに選んだ。はなえーる事務局長の沖中満春さんは、「数多く匠ブランドが店頭にならぶ販促企画やフェアに売り込みをかけ、町の元気に弾みをつけたい。町内でワインを製造するアンデルセン・パン生活文化研究所はグループ店を多数展開し、アピール効果に期待。日本酒や伝統工芸品へ興味を広げてもらえるよう、もっか40〜50代をターゲットに広報戦略を練っている」当面は行政関係と切り離し、自由度の高いブランド運営を行うが、将来は官民連携を強化して公募制も検討したいという。
IT人材の育成急ぐ
AIやロボットがどんどん社会に広がってきた。それらを制御するために欠かせないIT人材は、2030年に国内で最大79万人不足するという。学習塾運営のビーシー・イングス(南区)は、約5年前にFC加盟で始めた小学生向けプログラミング教室「プロクラ」の展開に弾みがつく。8月現在で「田中学習会」の3分の2に当たる38教室で併催。生徒は計400人。小中高の必修化に加え、来年1月から大学入学共通テストの新教科「情報」でプログラミングが出題され、国も養成に本腰を入れる。森藤啓社長は、「当社は人間育成を重視。ブロックを組み合わせて街をつくるゲーム・マインクラフトの世界で学び、考える力や論理的表現力を育むよう意識している」
ESGアドバイザー
率先垂範。理研産業(中区)は7月、久保田勝彦社長ら役員・社員12人が民間資格「認定ESGアドバイザー」を取得した。中小企業個人情報セキュリティー推進協会が本年度始めた認証制度で、県内企業の取得は初めてという。ESGは「環境・社会・統治」の三つの観点から持続可能な社会を実現しつつ、長期的な企業成長を目指す。同社はアドバイザーとして統治の一環である情報セキュリティー対策やICT利用による業務効率化などの支援に力を注ぐ。資格取得を通じ社外への情報発信に生かすほか、社内の意識を高めようと資格に挑戦した久保田社長は、「ESGは大企業に限った話ではなく中小にも重要。経営の視野が広がり、事業の発展をけん引していく原動力になる。少しでも中小の経営に役立つことができるよう研鑽努力してまいります」
高校生の事業プラン
日本政策金融公庫は第12回高校生ビジネスプラン・グランプリの募集を始めた。9月25日まで。11月28日にファイナリストを発表。最終審査会は来年1月12日に東京大学伊藤謝恩ホールである。ビジネスプラン作成の出張授業もあり広島県は瀬戸内高など6校で行う。昨年度は505校1万2449人が参加し5014件の応募があった。田園調布学園高等部の「テック・ドミトリー」がグランプリ(奨励金20万円)を受賞。日本企業のサポートで海外から女性を招き、無償でITスキルや日本語を学べる寮を設け、就業サポートするプランを描く。日本公庫中国創業支援センターの担当者は、「昨年度は県内から5校計415件の応募があった。県立広島商の214件をはじめ熱心な高校が多く、市立広島商は学校賞を受けた。ベスト100に選ばれた広島商船高専は地域の交通や医療、観光情報などのスマホアプリ『れがれあ』計画を策定しています」