高齢者や障害者が、分け隔てなく日常生活や旅行を楽しむことができる環境をどう整えていくのか。4月1日施行の「改正障害者差別解消法」は、民間事業者も障害者や高齢者の求めに応じてバリアフリーなどの合理的な配慮を行うよう義務付ける。グランドプリンスホテル広島(南区元宇品町)は家族旅行が増える夏休みに合わせ、免許が無くても歩行領域を運転できる高齢者向け電動モビリティー「WHILL(ウィル)」シリーズ計3台を8月2日に導入した。県内ホテルでは初めて。近距離モビリティーベンチャーのWHILL社(東京)製で、手元のコントローラーで速度や移動操作が可能。宿泊、飲食、スパなどホテルの利用者はロビーで申し込むと24時間無料で使える。宿泊支配人の曽里智恵美さんは、「3世代で訪れる家族連れも多く、中には長旅で疲れて客室にこもる高齢者の方もおられます。何とかできないかと乗り物を探していたところ、WHILLを取り扱うネッツトヨタ広島から提案があった。館内に備えていた従来型車椅子に比べてデザイン性が高く、自力走行できるので、周りに気を遣うことなく館内や周辺エリアの散策を楽しめます」

タニシ企画印刷(中区舟入川口町)が2022年7月創刊した地域ジュニア応援新聞「スポラブ広島」が着々と読者の輪を広げている。2周年を迎えた7月号から呉エリア版(23年3月発刊)と統合。教育委員会や企業などの応援の輪も大きな支えになっているようだ。最新号は21クラブ・団体の活動や情報を伝え、大会結果なども紹介。NPO法人日本スポーツNEWS(鳥取県西伯郡)から受託制作し年4回、小・中学校向けに無料配布する。専用サイトやインスタなどSNSも活用。スポーツを通じた健やかな成長を願い、オリンピックを目指すジュニアアスリートらの育成を後押しようと地道な活動と協賛募集を続けてきた。事業部も立ち上げ、9月には新規事業をスタートする。編集部の潮秀美代表は、「ネットの良さをフル活用する一方で、誌面づくりでは例えば、地域のジュニアスポーツ団体の現状や実態をじっくりと聞き、より深く伝えることを意識している。紙媒体ならではの力も信じ、県内全域へ展開していくためのさまざまな仕掛けも工夫していきたい」タブロイド判16㌻、約5万部を発行。公共機関、スーパーへも設置。地域の元気と未来にスポーツの果たす役割は大きい。

人手不足で、ものづくりの現場は大わらわ。制御機器商社で地場大手の三光電業(西区商工センター)は、協働ロボットによる自動化で顧客の課題を解決する提案に力を入れている。7月24、25日に初めて主催した「ロボット展」(市中小企業会館)に1520人が来場。手応えを得たという。3人のロボットSI検定合格者ら専門スタッフが、多彩な機器を組み合わせながら改善策を練る。例えば、カメラと3次元認識でロボットアームに人間の目と脳のような機能を持たせ、ばらけた部品の整列や供給作業を分担。省力化や生産能力アップに貢献する。昨年は南区比治山本町の展示場に訓練センターを設け、メーカー公認トレーナー6人を配置。移動展示車も導入し各地に出向く。森脇喜美代社長は、「最新の情報提供と最適な提案を心掛け、なくてはならない商社であり続けたい。当社スタッフのやりがいにも直結し、成長のステップを踏む良い舞台になっている」ロボット展では子ども向けロボットカープログラミング体験教室や「ロボットアイデア甲子園」地区大会の見学会を併催。将来、同分野で働く若者が現れるよう、ロボットの楽しさを伝えた。

障害者才能発掘コンテスト実行委員会は、障害を持つ人の多様な才能や可能性を広めたいと、来年春を目途に初めて「障害者才能発掘コンテスト」を計画し、本格的な準備を始めた。高校卒業後に難病を患い、現在も車椅子生活を送る実行委員会代表者の岡洋平さん(39)は昨年参加した「ミセス&ミスターオブザイヤー2023 広島大会」で知り合った人と思いが一致し、4人で実行委員会を立ち上げた。コンテストは障害者10〜50人がそれぞれ得意の歌唱、演奏、ダンス、アートなどを披露し、各分野の専門家や企業代表者らが審査する。受賞作品のグッズ販売なども予定。岡さんは、「介護施設を運営する経営者との物品をめぐるトラブルや、障害者の間のトラブルなど生き苦しさを感じている知人の話を聞き、心が締め付けられる思いがした。そういった人たちが生きる希望につながるイベントを実施したいと企画。近年は障害者雇用を実施する企業が増えており、このコンテストをきっかけに企業と障害者のマッチングを通じて障害者の新たな勤め先が見つかる機会になればとてもうれしい」

アミューズメント施設運営のプローバグループ(安佐南区相田)は社内外で「副業」する社員が30人を超えた。2020年6月から自社グループや社外で副業ができる新制度をスタート。人手不足の改善や、人材育成につなげる狙いだ。フィットネスジム勤務の社員が、空き時間にパチンコ店のホールで働く。社内にはパチンコ店の勤務経験者が多く、アルバイトを新規採用しなくて済む。遊技台入れ替えなどのスポット業務もあうんの呼吸でこなす。社外の副業で刺激を受け、成長のきっかけにしている人もいる。人事担当の阿原理光さんは全国の公園でイベントを行うNPO法人「たしざん」に参加し週末に働く。指定された公園に家族と一緒に訪れ、施設面積や遊具の状況を確認。スマホで撮影して担当にメール送信する。阿原さんは、「公園巡りを通じて子ども(家族)とのだんらんの時間が増えた。NPO活動で広がった人脈が新しい価値観との出会いとなり、自己成長につながっていると感じる。副業で養った視点や物事の考え方を本業へもフィードバックしたい」

造船の新来島広島どっく(東広島市)、家具製造の4FUL(フォーフル)(尾道市)、(社福)創絆福祉会(海田町)の3社・団体は広島労働局の「ユースエール認定企業」に選ばれた。積極的に若者雇用に取り組み、指導体制の充実やノー残業デーの実施など働きやすい環境整備が評価された。7月31日に認定通知書交付式があった。認定基準は、残業時間が月に平均20時間以下、有給休暇の年間取得数が平均10日以上、育児休業取得の促進など全12要件に及ぶ。認定後は限定の就職面接会に参加できるといったメリットがある。県内では50社(7月25日時点)が認定されている。

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