東証プライム上場で、紳士服販売チェーン「洋服の青山」を展開する青山商事(福山市)が5月、設立60周年を迎えた。創業者の青山五郎さんが34歳で脱サラし、府中市の自宅を改修して紳士服、食料・飲料品、県の特産品の販売店を始めた。転機は1970年代初めの米国視察。車社会が急速に成熟し、ショッピングの場が広い駐車場を確保できる郊外へ移っていた。早速、74年に国内で初めて、郊外型の紳士服店「洋服の青山西条店」(東広島市)をオープン。以後は郊外中心に展開していった。返品しない買い取り仕入れ方法や、多店舗展開による大量販売など、業界の常識にとらわれないビジネスモデルを打ち出す。91年に年商868億円で業界トップに立ち、翌年は1000億円の大台を突破。2018年にはピークの2548億円(連結)を売り上げた。現在、グループ店舗数は777(ビジネスウエア事業)に上る。コロナ明けの前3月期連結売上高は4%増の1936億円、純利益は6期ぶりに100億円へ回復した。スーツ離れが加速しており、今期スタートした中期経営計画(3カ年)は都心部への小型店出店を強化するほか、婦人向けや高単価のオーダー品、EC販売に経営資源を集中し若年層を開拓。4月から正社員の賃金を平均4・2%引き上げるなど働きがい向上や優秀な人材の確保につなげ、27年に2100億円を目指す。

環境・品質調査分析のアサヒテクノリサーチ(大竹市晴海町)は5月21日、取引先や金融機関など関係者約30人を招いて新社屋落成式を開いた。旧社屋東隣に新築し、既に5月7日から本格業務を始めていた。県所有の緑地帯を入札で購入し、敷地面積4000平方㍍に3階建て延べ約2700平方㍍規模で、平屋建て300平方㍍の倉庫を併設。伴丈修社長は、「現在地に拠点を移して24年になるが、おかげさまで売り上げは右肩上がり。分析機器や社員も140人に増えて少々窮屈になったため、旧社屋の2・2倍に広げた。今後は新規装置の導入も進め、社会的にニーズの高い有機フッ素化合物などの微量分析や温暖化対策に関係した燃料分析、化学物質の規制に対応した分析などを進める。多目的室はセミナーなどに活用でき、事業拡大に備えていつでも分析室へ転換できるように対応。新社屋で気分一新。みんなの晴れやかな表情が何よりうれしい」

システム開発会社でつくる(社)広島県情報産業協会(中区千田町)は5月21日、設立40周年記念式典を市内ホテルで開いた。県ソフトウエア産業協議会として発足以来、新技術の勉強会や展示会などを通じてIT事業者を支援。産業イノベーションの中核エンジンであるITのさまざまな可能性を探究してきた。上田康博会長(ハイエレコン社長)は、「昨年10月に開いた展示会『ひろしまITフェス』には定員いっぱいの約2000人が訪れ、DXへの期待や関心の高まりを感じた。労働人口の減少、物価上昇、カーボンニュートラルなど地域が直面する多くの課題に会員企業で連携し、それぞれの強みを生かして知恵を絞っていく」今年も10月に展示会を予定。行政や教育機関と積極的に交流し、新たなビジネスモデルの構築を目指す。

総合解体工事業の桑原組(西区己斐本町)は、山陰合同銀行広島西支店のごうぎんSDGs私募債を通じて5月29日、広陵学園にウォータークーラー2台を寄贈した。3月発行した無担保社債1億円( 期間3年)の一部を利用。同行からの発行は4回目になる。猛暑の季節に備え、校内に2台を配置。熱中症対策にも役立ててもらう。山陰合銀ほか中国銀行、広島銀行、西日本シティ銀行を含め、計9回にわたり総額9億5000万円の私募債を発行。桑原明夫社長は、「油断は大敵。炎天下での工事現場は暑いというより熱い。無防備が一番危ない。水分補給も肝要です。私募債を活用して安田学園や舟入市民病院などに寄贈。心のこもった礼状を頂いて、恐縮しております」地域に密着した社会貢献と事業展開の経営方針を貫く。

竹原市は、市内での起業を促し地域活性化につなげようと、ふるさと納税制度を活用する。5月29日〜来年2月で1000万円を集め、実証実験の資金に充てる計画という。新しい技術やビジネスプランを持つ新興企業を全国から募り、地元の企業や学生らとの協働をもくろむ。運営事業者ボーダレス・ジャパン(福岡市)の担当者は、「ふるさと納税制度は豪華な返礼品に注目が集まり、納めたお金の使途は分かっていないケースもある。当事業は寄付の目的や活用状況を明確化し、納税者が社会に貢献している実感を得やすいのが特徴。もちろん返礼品のあるプランも用意しており、米や酒、バッグなど市の特産品から選べます」市の人口2万4000人のうち、43%を65歳以上が占める。持続的な発展のため、外部の知見や若者の柔軟な発想を取り入れたいとする。

駅で列車が発着する際のメロディーはどこか郷愁を誘う。産経新聞支局長や県立広島大学で広報企画監などを務めた藤澤志穂子さんが4月15日、書籍「駅メロものがたり」(256㌻)を交通新聞社から発刊。各地の駅メロとそれにまつわる歴史をひもとく。県内ではJR呉駅を紹介。戦艦大和を建造した海軍の街にちなみ、2012年に市民から提案のあったアニメ宇宙戦艦ヤマトの音色が流れる。街中のそこかしこに残る軍港時代の名残に溶け込み、大和ミュージアムと併せて呉の印象を醸す。「希望を背負って出航したヤマトの物語の根強い人気は、戦艦大和へのノスタルジーとも重なり合う。駅メロに地域おこしの願いを込めたのだと思う」駅メロは日本独自という。海外では発着の告知音がなく、すっと走り出す。秒単位で厳格に運行する日本に比べ、多少の遅れに寛容だが自己責任が原則の海外。文化の違いなのだろう。

クレイトンベイホテルは6月、ホテル内の日本料理・呉濤の鷹林勲料理長が呉市内の飲食店を紹介するグルメマップ(動画付き)の配布を始めた。インスタグラムで1月始めた「呉の夜が美味しくて楽しい」シリーズで訪問した全16店を掲載。森田食堂の動画は再生回数97・2万回を記録した。「コワモテ料理長としてファンがいる人気企画。呉の観光は滞在時間が短いことが課題だが、昭和感漂う魅力的な店が多く、街を挙げて夜の観光を盛り上げたい」(経営企画室)

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事