アスティ(西区)などの持ち株会社4℃ホールディングス(東京)の社長、会長などを歴任した取締役相談役の木村祭氏(さいし)さん(72)が5月30日の株主総会をもって退任する。入社から50年を振り返り、「諸先輩をはじめ、多くの方々に支えてもらった。感謝の気持ちでいっぱいです。猪突猛進のあまり数々の失敗を重ねたが、みんなに助けてもらった。卸の〃中抜き〃論が喧伝(けんでん)されて危機感が募っていた頃、ベトナムヘ渡り海外自社工場を設立。アパレルメーカーへとかじを切るきっかけになった。ようやく工場契約の日取りが決まり、涙ながらに田坂弘和社長へ電話したことが印象深い。4℃ブランドを中核にプライム市場に上場する弊社グループが今あるのも当時、経営を引っ張っていた田坂社長、細田信行専務らの懸命な尽力のおかげと胸に刻んでいる。24年前に私が専務のとき、退職する女子社員に、いつか十分な賞与を支給できる会社を目指して頑張ると約束したが、アスティの昨年度年間賞与が過去最高となり約束を実現できた。退任の年に神様からのご褒美が頂けたと感謝している。みんなに夢があり、力が結集した。夢なきものに成功なしとは吉田松陰の言葉だが、何をなすにしても人財こそ全て。人を大事にしてきた、わが社の社風を先輩から後輩へと引き継いでもらいたい」

お好み焼き店「ちんちくりん」を運営するケーツーエス(安佐南区)は、米国ロサンゼルスに開業した直営店の二軒隣にドジャースの大谷翔平選手の壁画が出現し、見物客や観光客増などと相まって客足が好調という。ロス中心部の日本人街「リトル・トーキョー」にある日系ホテルの壁面にでかでかと大谷選手が描かれており、3月にお披露目された。アスリートでは史上最高額の契約金でエンゼルスから移籍後も大活躍を続け、ファンの心をわしづかみにしている。リトル・トーキョー店では複数言語が飛び交い、大いに活況。肉玉そば入り2300円、海鮮入りスペシャルは3500円と広島に比べてびっくりするほど高いが、よく注文が入り、年商4億5000万円を見込んでいる。村竹真一副社長は、「米国で今、お好み焼きの人気にも火がついている。今秋にはテキサスで新店を予定しており、広島お好み焼きを世界に広めたい」

両親へ結婚式をプレゼントしたい、などホテルを舞台に描く願い事を募り、その夢の実現を全力でサポートするという。4月で開業30周年を迎えたリーガロイヤルホテル広島は謝恩企画「リーガに願いを〜ホテルがあなたの願いを叶えます」を始動。6月1日から7月7日まで“夢”プランを募集する。選考を経て8月中旬に当選(1人)発表。ホテルの施設、人材、サービス、感性、技術を駆使し、11月30日までに夢をかなえる。「新たに周年企画チームを二つ発足し、100以上の案から選んだ自信の企画。例えば、結婚式を挙げることができなかった両親に結婚式をプレゼントしたい、サプライズプロポーズがしたい、仲間たちと一緒に演奏会がしたい、などの夢を広げてほしい。思い出を紡ぐ瞬間に立ち会えることを楽しみにしています」(広報担当)カープ日本一の願いもかなえてほしい。

5月に開館35周年を迎えた広島市現代美術館の寺口淳治館長は、1991年に初めてパリのルーブル美術館を訪れ、ギリシャ彫刻サモトラケのニケに息をのみ、身じろぎできなくなったという。「その後ルーブルを訪れるたびに、大きく翼を広げた勝利の女神ニケを前に数時間くらいはじっとたたずむことが多い。ニケを見ている自分が自分に向き合っているような感覚になる。美術館はよく敷居が高いと言われるが〝分からないといけない〟と思っていることがプレッシャーやストレスになっているのではないか。学校で美術は文字情報として教えられてきた。また1970年代に台頭した、深遠な思考から生み出されるコンセプチュアル・アートが、美術を難しく感じさせてしまった。しかし作品と向き合うと、分からなくても自分の中の何かが動くはず。その体験が大切。まずは作品の前に立ってみてほしい」事業や経営を進める上で、壁が立ちはだかったとき、事態を打開する手がかりになるかも。見ても分からんと敬遠するのはもったいない。コロナ禍によって全国的に美術館の閉館が相次ぐ。全国数百館の年間来場者数平均は6万人弱。同館は15万人以上。市民120万人のうち、年間で10人に1人以上が訪れている。

間もなく梅雨入り。今年は期間こそ短いものの雨量は例年より多く注意が必要という。地域の災害対策に一役買おうと、建設業の河崎組(東区牛田新町)は4月、本社敷地内に井戸を設けた。建物正面の駐車場の一角に電動と手動のポンプを設置。普段は同社が清掃や散水に使うが、断水などの際には近隣住民の生活用水として提供する。総務部の岩田昭彦部長は、「正月の能登半島地震を受け、万一への備えが必要と社内で声が上がっていた。予想よりも深い位置まで掘ることになったが、2週間ほどで完成。水道水の使用量が減り、約10年前から取り組むエコアクション21認証の面でも有意義だ」Z世代は地域貢献やエコに関心が高いとされる。5月に刷新した会社ホームページと合わせ、人材確保にもつなげたいと話す。

技能実習制度に代わり新設される予定の「育成就労」で、実習生の転職が可能になる。機械部品製造のアグサメタル(福山市東手城町)は帰国後の開業を見据えた実習生の能力開発などを通して、選ばれる会社を目指す。2013年から累計30人ほどのインドネシア人実習生を受け入れている。希望者には日本語に加えて生産管理などの検定試験の勉強会を実施し、合格者に手当を支給。学んだことを生かして2人が母国で起業した。業務には直結しないが、今夏からプログラミングも教える計画だ。阿草洋二社長は、「熱心な実習生に仕事や勉強を教えるうちに日本人社員の意欲や技術力も向上。離職率の低下や業容拡大につながった。実習生は当社の恩人であり、子どものような存在。できる限り母国での活躍を後押ししたい」インドネシア人材受入事業のJAMS協同組合(同市若松町)理事長も務める。市内に祈りの場所がないという声に、昨夏、自社施設内に誰でも使える礼拝所(ムショラ)を整備。働きやすい環境づくりに余念がない。

東広島ビジネスサポートセンターハイビズは5月16日、昨年度の活動内容と支援事例を発表した。相談件数は1644件で、2020年2月の開設からの累計は6892件となった。相談目的は集客アップ31・4、販路拡大18・8、創業15・8、新商品・新サービス開発11・5、情報発信11・1、事業全般9・1%など。顔を付き合わせることで多くのひらめきが生まれた。例えばサンドイッチ専門店が開発した完全栄養サンドイッチ、老舗スーパーが手掛ける地域物産展、夫婦で営む無添加ナッツの量り売り専門店などがスタートを切った。センター長の三嶋竜平さんは、「地域経済が正常化に向かう一方、経営環境は苛烈さを増しています。中小事業者は今まで以上にセールスポイントを生かした成長戦略が必要です。事業者に寄り添い、知恵とアイデアで流れを変える支援を続けたい」

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