社内SNS導入
ひろぎんホールディングスは4月から、グループ子会社を含む約4000人の社員を対象に組織活性化のためのプラットフォームとして、SNS「TUNAG(つなぐ)」を導入した。スタメン(東京)が開発したデジタルツールで、組織の今が分かる「タイムライン機能」、社員同士の交流を活性化する「コメント・スタンプ機能」、社員の人柄が分かる「プロフィール機能」などを備える。世代、役職、グループ会社間のコミュニケーション活性化、産休・育休、外部出向者を含めた社員同士のつながりが持てるコミュニティ形成などを目指す。執行役員サステナビリティ統括部長の木下麻子さんは、「2022年10月に若手の社員16人で立ち上げた新チーム『未来創造タスクフォース』の提言をきっかけに社内SNSの導入準備を進めていました。TUNAGを有効活用しながら主体的にキャリアの道筋を描き、新たな取り組みにチャレンジする企業風土を醸成していきたい」
世界の定番へ

海外販路拡大を狙う木製家具メーカーのマルニ木工(佐伯区)は4月16〜21日にイタリアであった国際家具見本市「ミラノサローネ」に出品。世界の定番を目指すマルニコレクションがバイヤーの関心を集めたという。昨年開かれたG7広島サミットのワーキングランチで世界の首脳が座った同社製の椅子が見本市会場でも話題に。著名デザイナー深澤直人氏らが手掛けた世界戦略ブランドのマルニコレクションからソファやテーブルの新作がデビューし、「HIROSHIMA」シリーズからはソファと棚をそろえた。背と座面のクッション性を改善。脚は細く、背もたれを5㌢高くし、欧米の広い部屋でも映えるデザインに仕上げた。海外で人気が高まる大理石調天板のダイニングテーブルや、日本の諸島を意識した新シリーズ「SHOTO」の円卓などを並べた。世界30の国・地域の販売網を生かし、将来は海外の売り上げ比率を現在の10%から30%へ引き上げるもくろみだ。サミット効果か、国内のホテルや飲食店向け受注も好調。グループの法人営業部門マルニアステリア(廿日市市)と連携し、販路拡大チャンスに挑む。
実感を育てる
人生100年時代が現実になろうとしている。三原市の広島臨空産業団地に新工場「マイ・フローラプラント」を昨夏操業した野村乳業(府中町)の野村和弘社長は、「乳酸菌飲料マイ・フローラを製造する新工場は、世界的にも珍しい植物乳酸菌の高濃度発酵技術を応用した開発・製造拠点になる。便通の改善効果などが立証されているが、今後も売り上げ拡大に走ることなく、一人でも多くの人の〝おなか〟を育てていく。元気で長生きを支える乳酸菌飲料を広め、ゆっくりと事業を軌道に乗せていきたい」情報発信も重視。研究開発の成果や発酵技術などをテーマに併設のカフェやイベントで分かりやすく、飲んでみたいと思ってもらえるよう知恵を絞る。「実証データはむろんのこと、2011年発売以来、腸活(プロバイオティクス)効果が支持されてきた。〝実感した〟という声がたくさん届いている。われわれの励みであり、この声を大切に育んでいきたい。より効果の上がる飲み方も発信していきます」牧場経営で創業した1897年来、群雄割拠のヨーグルト市場で踏ん張ってきたが2022年に完全撤退。切り開いた新しい市場に今、確かな手応えを得ているようだ。
その制度うれしい
働き続けたいと思える会社とは。総合食品卸の中村角(西区草津港)は入社7年目までの従業員を対象に、4月から奨学金返済支援制度を導入。毎月1万円を7年間、給与に上乗せする。昨年、奨学金返済に関する社内アンケートを実施したところ、6人いることが判明。中村一朗社長は、「予想外に多いと感じた。奨学金を借りて学ぼうとする姿勢は真面目で、成長が期待できると考えた。採用活動でも支援制度をアピールし、優秀な人材確保につなげたい」早速、採用面接の場で「その制度はうれしい」と率直な声が返ってきた。働き方改革も積極的に取り組み、4月には4年連続で「健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)」に認定。依然として厳しい経営環境が続く中、今3月期売り上げも過去最高を更新する見通しだ。こつこつと経営改革を図り、決して油断がない。若者から選ばれる経営姿勢こそ成長の決め手なのだろう。
常識を疑う
メイドインひろしまIoT協議会(福井五郎会長)の通常総会が4月22日にあった。日本で最も有名なプログラマーで、プログラミング言語Rubyを開発した、まつもとゆきひろさんがオンラインで「オープンソースソフトウェア流プロダクトマネジメントのすすめ」と題し、講演。これまでのソフトウェア開発の常識を疑う重要性を語った。日本の多くのIT企業は顧客が無関心だった過程(かかった時間・人員・コスト)の管理にとらわれるあまり、顧客が関心を寄せる製品(何の役に立つのか)を追求しきれていなかったと指摘。プロダクト(製品)とプロセス(過程)のどちらを中心に据えて開発に取り組むべきか、自動車の大量生産を実現したフォードの名言を引き合いに、「顧客に欲しいものを聞くのではなく、一体何に困っているかを洞察し、その期待を超えることが重要。納期や予算といった約束事以上のメリットを示せれば、顧客の満足度は高まるはずです」
窮地を超えて
葬儀場運営のさいき(東広島市)は3月末、ホテル客室のような宿泊スペースを備える小規模ホール「家族葬つつじ」を同市西条上市町に開業した。明るい色調のシンプルで落ち着きのある洋室にベッド2台とソファ1台、バスタブ付きの浴室を完備。遺族のためのプライベート空間に特化する新たな切り口で展開し、5年後に全国50施設体制を目指す。コロナ禍の需要低迷期に会社売却を検討するほど追い込まれたという柚木力社長(47)が心境の変化を語ってくれた。「2014年に先代が亡くなり、四苦八苦しながらようやく軌道に乗せた矢先、パンデミックに直面。どん底を味わい、もう経営は無理だと思った。当時は子が生まれたばかり。その無邪気な笑顔を見ていると毎晩涙が止まらなかった。大手への会社売却を考え、先方の役員らと面談したことも。しかし窮地に追い込まれて初めて、何をすべきか、希望が見えてきた。式を終えてやすらぎ、心の温まる葬儀とすることができないか。日々考えるうち、次第に大きな力が湧いてきた」ヒロマツグループと連携したプロジェクションマッピング葬に次ぎ、遺族に寄り添う家族葬。決意を秘め、一歩を踏み出した。