3月10日に創業30周年を迎えた。「お客さまに食を通じて、喜びと感動をお届けする」を理念に、炙焼楽群、炭火焼楽月の飲食店2店舗のほか、高級弁当販売なども手掛けている。飲食業を志した原点は学生時代にアルバイトとして働いた喫茶店で、お客さまとの交流が何よりも楽しかったこと。飲食店では、料理を提供したときの笑顔や、きれいに完食された皿などさまざまな形でダイレクトに反応が伝わってくる。特に印象深かったのは、社会人1年目のクリスマス。飲食店の接客担当で、菓子入りのブーツを子どもたちに配ったが、最後に来客した常連の親子を前にストックがなくなってしまい、渡すことができなかった。残念そうな子どもの顔が忘れられず、翌日の出勤前にスーパーを駆け回り、なんとか同じ菓子入りブーツを入手。家に届けると、「お父さんにもらったプレゼントよりもうれしい」と喜んでくれた。この出来事がきっかけで、当社は誕生日や結婚記念日など特別な日の演出に力を入れている。お客さまに満足してもらうことが第一だが、同時に従業員も自分事のように感動を味わってほしい。昨年8月に古希を迎え、11月には社長の座を息子に譲った。継いでほしいと口に出したことはないが、他社で経験を積んで戻ってくれたことは素直にうれしい。とはいえ私もまだまだ現役。今後5年ほどは代表権を持つ会長として伴走しながら、経営だけでなく、理念も次世代に承継したい。
担当記者:後藤