2018年に映像制作で個人創業した。この世界に入ったのは20歳のときに見たテレビドラマ「僕の生きる道」がきっかけだった。余命を告げられた高校教師が生きた証としてビデオ日記を撮りながら、生きることの意味を見いだす物語。当時の私はなんとなく大学に進み、やりがいを感じずアパートから出ない日々を送っていた。「自分は何なのか」と自問し、すぐに大学を退学。映像の専門学校に通い始めたところから、今に至っている。撮影でのこだわりは、自分では見られない日常を映像化すること。演出で作られた世界ではなく、身近な暮らしの中に現実がある。そしてその日常にこそ「幸せ」があると思う。ありのままの姿で魅力を伝えてほしいと考え、「あなたの生きる道」という動画企画をつくり、これまでに90人ほどを撮影させてもらった。そこにある空気感を映像でそのまま切り取る。撮影時に話しかけることも指示もしない。起床からの様子を撮るために深夜3時に撮影者の自宅に入ったことも。難しいのはカメラ(私の存在)を意識させないこと。中には撮影中に昼寝を始めたご夫婦もおり、それだけ気を許してくれたことがうれしく、作品としても良いものになった。去年秋から毎月、中区で上映会を開いている。ぜひ足を運んでほしい。
担当記者:梶原