東友会理事長を兼任。増設した同社湯来工場などの状況や、マツダ、オンド、広島アルミニウム工業と共同出資で設立した「MHHOエレクトリック ドライブ」(南区小磯町)の動向などを聞いた。

-湯来工場増設の状況はどうですか。2019年にマツダ向けの第7世代商品群の排気系部品生産のため、延べ4392平方㍍を増築。今回は沼田工場(安佐南区)から、少量・旧型のドアの生産設備や倉庫を移管するため、1235平方㍍を増設しました。湯来工場はマフラーなど排気系部品の工場でしたが、今回ドアの生産を始めました。沼田工場は、共同出資で設立した「MHHOエレクトリック ドライブ」向けの電動駆動ユニットの部品生産を行う拠点にします。-MHHOの業務の進捗状況は。資本金は1000万円でマツダが10%、オンド、広島アルミニウム工業、ヒロテックが30%を出資し、ヒロテックからは役員含め計4人が出向。生産技術開発や生産準備の合同検討活動を行っています。マツダと連携して電動駆動ユニットの生産技術を開発し、部品を各社とサプライヤーで生産する方針です。主力のドアや排気系部品は生産の継続と共に技術を高めていきますが、新分野においても「新たなドアを開く」思いでチャレンジしていきます。これまで培ってきた金型や自動化などの既存技術を生かせる分野は多いと思います。-ヒロテックの国内工場の現況は。本社工場は自動化を進め、ドア組立の最新ラインは部品投入などの工程を自動化し、検査要員1人だけの省人化ラインにしています。将来は全自動ラインにし、工場の24時間365日稼働を目指します。本社の全5ラインのうち3ラインで互換性を持たせ、他のラインは少量で多種類のドアを生産。光工場、防府工場、湯来工場も生産台数の増減に強い変種変量対応ラインを目指しています。防府工場はマツダのラージ商品群向けに製造ラインを更新しました。ドアが大きくなりプレスラインも現在の1300㌧から2000㌧ラインに替え、建屋も10㍍程度広げる増築工事を行っており、26年稼働の予定です。各工場ではかつてのJ-ABC活動からMPS(マツダ生産方式)に移行し、現場従業員が改善手法などを学びレベルアップする人材教育・トレーニングを行っており、海外でもメキシコとタイ工場で実施しています。-海外工場の動向はどうですか。4月にメキシコと米国、5月にドイツ、8月にインドに行き、北米とインドでは、自動車の販売が好調です。23年にヒロテックアメリカの工場を増築しました。GMのトラックプロジェクトの生産設備の受注対応です。GMは米国の4工場でトラックだけで80万台規模を生産。モデルチェンジしたトラックのドアの設備を生産し、GMの工場に据え付ける工事です。ヒロテックメキシコ工場も来年2月末に約1万2000平方㍍の増築工事が完成予定です。従業員も増員し、リフトゲート、トラックリッド、ボンネットの組み立てラインを導入し、現地のドイツの自動車メーカー向けに各15万台分を生産する予定です。22年に完成したドイツ工場も現在増設に向け造成中ですが、1万1000平方㍍を増床し、ドイツの自動車メーカー向けトランクリッドの組立ラインを導入します。早ければ24年度着工、26年度の稼働を見込んでいます。-自社の採用や人材育成は。ヒロテックの24年春の新卒は、大卒・高卒で計33人が入社し、中国人2人、韓国人1人も採用しました。来春も将来に備え35人程度を募集。24年はコロナで中断していた米国への語学留学や県立大学大学院への派遣も復活しました。入社3年くらいの若手を海外グループ拠点に1年程度派遣し、海外での活躍のためにトレーニングしています。-東友会の取り組みはどうですか。カーボンニュートラルについてはマツダと情報を共有化し、各企業がまずは、見える化を行っています。東友会でもエアコンプレッサー洗浄による性能回復など省エネの改善事例の紹介や視察などを実施。ヒロテックでは空調設備更新による省エネ、工場の駐車場や遊休地への太陽光発電設備設置なども検討しています。EV化・電動化の対応については新技術委員会などで勉強会を行っています。

プロフィル

うの のりふみ1962年6月17日生まれ、広島市西区出身。86年慶応大文学部卒業後、当時の広島プレス工業(現ヒロテック)入社。92年ミシガン大学大学院経営学科卒。米国テスコ(現ヒロテックアメリカ)CEO、ヒロテック代表取締役副社長などを経て、2012年3月から現職。21年5月から東友会理事長。慶応大では体育会ソッカー部主将を務めた。

担当記者:大谷

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