昨年5月、県の土木建築局総括官を経て現職に就きました。51歳の時、幹部候補者研修で湯崎知事の推進する行政経営のカリキュラムを受けたが、建築技術者の私にとって、当初は懐疑的な内容でした。しかし、論点や視点に着眼した思考法、モノの考え方に出会い、感動。今は経営の視点とは何か、改めて教わった言葉を思い起こし、復習と予習を繰り返しています。中でも、哲学者マルセル・プルーストの言葉「真の旅の発見は、新しい風景を探すことではない。新しい目で見ることなのだ」に感銘。ありきたりな風景だろうと、そこから何かを感じ取ることができるかどうか、全て自分の心次第。問題解決のプロセスを説く〝論点思考〟を著した内田和成氏の「視野を広く持ち、視座を高く持ち、視点を変える」にも通じる。研修を境に、部下に「論点が合っているか」と問うようになり、コンテクスト(背景、状況、文脈)を意識したコミュニケーションを心がけるようになった。2000年の設立以来、先人のおかげで、建築確認検査は約19万件に上り、順調に成長してきたが、今後、住宅着工戸数は間違いなく減っていく。顧客のコンテクストを読み取る姿勢が、住宅を取得するサポートサービスを担うわれわれの仕事では一層大切になってくると考えています。
担当記者:藤井