4月13日の巨人戦で今季初マウンドに立った森下暢仁は6回1失点と好投。その1週間後(20日)の巨人戦では、6回1/3を2失点の粘投で今季初勝利を挙げた。彼には今季、ローテーションの軸を期待する。初めて開幕投手に指名された九里亜蓮は3戦目(12日)の巨人戦で9失点を喫したものの、さほどの心配はない。同じく今季、開幕投手候補の一人だった左腕の床田寛樹も脂が乗っている。マウンドさばきがいっそう巧妙になり、技巧派のイメージさえ出てきた。ツーシーム、カットボール、パームボールなどを自在に操り、打者を手玉に取る。昨季まで5年連続で開幕投手を務めた大瀬良大地もオフに受けた右肘手術から回復し、オープン戦では打ち込まれたものの、「九里に負けない」とエースの座への返り咲きを目指す。日本野球になじんできたトーマス・ハッチの評価もまずまず。150㌔前後の直球に加え、変化球の精度が高い。ただ打者を追い込んだ後の決め球に課題はある。そして開幕から2戦2勝と好調なスタートを切ったアドゥワ誠は、先発日程の空きのため2軍で調整。さらに森下の出遅れによって急きょ、先発の役目を担った3年目の黒原拓未も、現在は中継ぎだが、いつでも先発に回れる。ただ長いシーズン、このままで…というわけにはいかない。しかし、今のカープにはルーキーの常広羽也斗をはじめ、実績のある玉村昇悟、遠藤淳志、森翔平、期待の斎藤優汰らがいる。今季の先発投手陣は多士済々、レベルの高い競争が続くと思う。
プロフィル
迫 勝則(さこ かつのり) 1946年生まれ。マツダ退社後に広島国際学院大学部長などを務め、執筆・講演活動を続ける。近著は「森下に惚れる」「逆境の美学」
担当記者:阿戸