広島に住んでいるとなかなか他球団の〝ちまたの情報〟が伝わってこない。私には幸い、東京の大手出版社でネット配信の編集長をしている友人がいる。彼らが扱うのは主にスポーツと芸能。最近の彼とのやりとり(野球談議)の一部を紹介する。まず昨季38年ぶりに日本一に輝いた阪神ファンの盛り上がりは、カープファンの予想をはるかに超える。今、阪神ファンの間で日常的に使われている言葉は「アレンパ」らしい。説明するまでもないが、「優勝=アレ」と「連覇=ンパ」を組み合わせた造語である。さらに昨季最下位だった中日ファンも「今季は優勝!」と盛り上がっているそうだ。ただこちらは友人(編集長)の言葉を借りると、単に「2024年が辰年」だという無理筋の意気込みが全開になっているだけだという。そしてもう一チーム。編集長は西川龍馬の人的補償としてカープに来た日高暖己(19)のことを「とんだ掘り出し物」だと表現した。彼がオリックスファンの間で「第二の山本由伸」として評価されているからである。確かに、投げ方が米大リーグ・ドジャースに移籍した山本にそっくり。球速はまだ140キロ台後半だが、落ちる球の精度が高く、伸び代は十分だという。なぜ即戦力ではなく、日高だったのか。編集長の質問に対する私の答えは「外部からの補強に頼らず、現有戦力の底上げで戦いたいという新井貴浩監督の意向があった。人的補償選手はこれまで即戦力の赤松真人、一岡竜司、長野久義…、カープはこの発想を変えた」。編集長とは今こういうオフ談議を楽しんでいる。

プロフィル

迫 勝則(さこ かつのり) 1946年生まれ。マツダ退社後に広島国際学院大学部長などを務め、執筆・講演活動を続ける。近著は「森下に惚れる」「逆境の美学」

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