―事業内容について教えてください。
「挑戦と発見を通じてポジティブに歳を重ねる」Age―Well(エイジウェル)な社会の創造を掲げ、医療・介護でもない新たなシニア市場を広げていこうと事業を展開。20〜30代のスタッフがご自宅にお伺いし、スマートフォンレクチャーからお話し相手まで幅広くお手伝いするシニア向け訪問型サービス「もっとメイト」を手掛けています。

時には孫、時には友人、時には秘書として、シニア世代に寄り添い好奇心を引き出すことで、挑戦と発見の多い毎日をプロデュースします。世代間交流を促進するための多世代コミュニティスペース「モットバ!」やエイジウェルな生き方をデザインする研究所も運営。

そのほか、各サービスのシニア会員データや研究所のナレッジを活用し、企業や自治体向けに事業開発、市場調査、ユーザー共創などのソリューション事業も手掛けています。
―創業のきっかけは。
「長く生きすぎちゃったかしら」とつぶやいた祖母の一言がきっかけで、5年前にシニア領域の会社を起業。定年退職後、会社からの卒業が社会からの卒業になっている方や、子育てが終わって残りの人生をどう生きようか迷われている方が多くいると思います。私の祖母もその一人でした。骨折したことがきっかけで、歳を重ねることに後ろ向きになっていった。言い知れぬ孤独感や不安感を抱え、家族や社会に謝りながら生きるシニアが実は多くいるのではと感じた出来事です。そこでネガティブな超高齢社会を私たちの手で変えようと、世代間交流を通じてお互いがポジティブになるという相棒サービスを始めました。エイジウェルの概念を提唱し、超高齢社会の価値観・文化・制度の変革を目指しています。
―他社サービスとの違い、強み。
弊社の強みは、データと経験に基づいたシニアへの深い理解があることです。もっとメイトをはじめとする「傾聴と対話」を軸としたサービスによって、シニアとの接点数は10万人を超え、傾聴時間は9000時間におよびます。こうしたシニアから直接得たデータとコミュニケーションスキルを蓄積し、事業に生かしています。超高齢社会でシニアと接点を持つ機会が増えており、現場から得られたデータは強みになると考えています。もう一つは、医療や介護を軸としたシニア向けサービスが多い中、ウェルビーイングを起点にした事業展開を行っていることです。差別化につながるとともに、新たな市場の創造にもつなげています。
―導入実績、事例を教えてください。
シニアのAge―Wellに伴走する孫世代の相棒を「エイジウェルデザイナー」と認定しており、この独自の研修プログラムを体系化しました。

同研修プログラムはシニア顧客を多く抱える企業から、人材育成研修に取り入れたいとの要望が寄せられ、これまでエイジウェルデザイナーの研修受講者数は835人を数えます。具体的な事例として、きらぼし銀行さまでは、若手行員の早期戦力化とシニア世代の顧客に対する継続的なコミュニケーションスキルの不足が課題としてありました。弊社は人材支援として、研修プログラムの導入とOJTを実施。研修導入後には若手行員のモチベーションが向上し、銀行としても新たなサービスの創出につなげることができたと評価を頂いています。
―今後の活動について。
今後の事業展開は以下の2点を中心に進めていきます。一つ目は「エイジウェルデザイナー 育成研修」を推進することで、同価値観を体現し、実践できる人材を社内外で育成することです。この研修を通じて個人の成長を促し、組織や社会全体の活性化にも貢献します。

二つ目は同価値観と親和性の高い企業との事業共創を進め、新規の商品やサービスを生み出すことです。これにより、地域社会に新たな価値を提供し、持続可能で魅力的なまちづくりの実現を目指します。これらの取り組みを通じて、より豊かで活力ある未来を創造していきます。

【会社概要・お問い合わせ先】
▼株式会社AgeWellJapan
住所:東京都渋谷区渋谷1-15-12
サービス設立:2020年1月
TEL:082-504-3979
▼(株)広島ベンチャーキャピタル(HVC)
TEL:082 -504-3979
Mail:info@h-vc.co.jp
担当:古川
プロフィル
株式会社AgeWellJapan/ 赤木 円香 代表取締役 CEO2017年に慶応大学総合政策学部卒業後、味の素に入社し、財務経理部で決算と原価計算業務を担当。20年に前身のMIHARUを創業し、23年に研究所「Age―Well Design Lab」を設立。Forbes JAPAN「世界を救う希望NEXT100」に選出された。
担当記者:高見