内航船運送業の親力海運(呉市下蒲刈町下島、渡邉雅允社長)はCO2排出量を削減する環境対応船を相次ぎ導入する。現在は山中造船(愛媛県今治市)で総トン数749㌧のクレーン付き貨物船兼砂利運搬船を建造中で、5月の完成・運用開始を予定。新エンジンやリアルタイムで燃料消費量を表示できる機器の導入、船型の変更によってCO2排出量を年間16%削減する。広島銀行と呉信用金庫が主幹事となり、建造費としてシンジケートローン(協調融資)6億3000万円を実行。昨年9月には同じくCO2排出量を削減した新建造船「第十八親力丸」(総トン数499㌧)=写真=も進水した。
完成予定の新建造船は長さ70×幅14・3㍍で、載貨重量2300㌧、航海速力11・3ノット。乗組員用個室計9室、操舵室、食堂、賄い室、浴室、機関監視室、事務室、便所などを備える。船型は全通二層甲板型船尾機関船で、クレーンを備え、港での荷役業者への委託が不要。当初は日鉄系の海運会社に賃貸し、返還後には自社運営で小豆島の石材を、常滑(愛知)や四日市(三重)の港湾土木用として運搬する予定。シンジケートローンは広島銀行がエージェント(事務代行)を務め、呉信金のほか商工中金も参加。契約期限は2040年5月で、約10億円の建造費に充てる。完成済みの第十八親力丸は長さ60・46×幅13・2㍍のクレーン付き貨物船で、中国電力の火力発電所向けに山口県・仙崎の石灰石を下松などの破砕所に運搬。石炭灰など発電所の産業廃棄物運搬も予定する。国交省のエコシップ登録を申請中。新建造船も燃料のA重油使用が従来の毎時320〜330㍑から270㍑程度に減る見込みで、エコシップ登録取得を予定する。同社は父の村一会長が1972年3月に設立し、長男の雅允社長は2016年に2代目に就任。従業員は海上35人、事務所4人、工務3人で、24年5月期の売上高は26億円規模。グループ会社に船員派遣、イチゴ栽培の(株)フロンティアがある。
担当記者:大谷