県内のタクシー会社が2020年2月と23年6月に続き、再び運賃の引き上げを検討していることが分かった。3月24、25日に数社が中国運輸局へ要請書を提出。同運賃は国交省と運輸局による認可制のため、すぐには上がらない。3カ月間で要請書を出す会社を受け付け、合計車両数が営業エリア全体(個人タクシー除く)の5割を超えれば可否を判断する。前回は実施までに10カ月かかった。

県内のタクシー営業エリアは一部を除く広島市と廿日市市、安芸郡が該当する「広島市域地区」(69社2580台)とそれ以外の「広島地区」(142社2209台)に区分けされており、それぞれに審査される。前者では宝塚かもめタクシー(東区)と城北タクシー(安佐南区)が提出。内容は▽初乗り運賃=現行の1236㍍670円から改定後に1420㍍800円、▽距離加算=264㍍80円から292㍍100円、▽時間制=30分ごと3300円から3600円。後者ではアサヒタクシー(福山市)とグリーンタクシー(同)が提出し、▽初乗り=1500㍍750円から1420㍍800円、▽距離加算=289㍍90円から284㍍100円、▽時間制=30分ごと3200円から3700円。燃料高騰や車両費、整備費、労働条件改善による人材確保などでコストが上昇し、経営環境は厳しい。前回値上げした23年度は県内211社全体で前年度比17%の増収効果があったが、コロナ禍直前の19年度と比べ9割にとどまる。輸送人員は7割までにしか回復していない。総車両数は430台(8%)減った。他の公共交通では市内中心部の大半の路面電車とバスが22年11月に220円均一制を導入し、25年2月にエリア拡大と併せて20円値上げした。アストラムラインも10月に最大30円の引き上げを予定している。無理な人員配置や整備不足があれば乗客の安全を損なう事態を招く。健全な経営基盤が求められる。

担当記者:吉田

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