広島県は2025年度にトラック運送事業者の人手不足対策を支援する事業を新たに始める。残業規制などによる2024年問題のほか、24年5月の法改正で多重下請構造の是正や荷待ち・荷役時間削減などを進めるための規制的措置が導入される中で、DX関連システムによる原価・労務管理、運行別売り上げ・粗利分析といった運送業務データの可視化を通じ、荷主などとの交渉や経営改善をサポートする。協力会社と連携した輸送網の集約、配送の共同化などに必要なシステム導入も対象にする。県が24年4月に立ち上げた「若者減少・人手不足対策プロジェクト」の一環で事業立案し、国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金1億7640万円の予算を計上した。補助率は1事業者単独でのシステム導入が3分の1以下、複数が連携する共同システムの場合は3分の2以下、補助上限額は1件当たり100〜360万円を予定。25年度はDX推進に取り組む県内トラック運送事業者100者を目標にする。24年度に県トラック協会と県内事業者に人手不足の現状と対応、県への政策要望などをヒアリングした。国交省資料によると全国の23年度の貨物自動車運転手(パート含む)の有効求人倍率は2・18倍と全職業平均の1・17の倍近くで、道路貨物運送業の年齢構成は45〜59歳の中年層の割合が45・2%と全産業平均の34・2%を上回り、15〜29歳の若年層は10・5%と全産業平均16・7%を下回る。23年の労働時間も大型トラックが年間2544時間、中小型トラックが年間2508時間と全職業平均の2136時間より2割長く、年間所得も大型507万円、中小型485万円と全産業平均507万円より5〜15%低い。広島県でも同様の状況であると聞き取っており、データを参考にしている。流通業務の総合化・効率化促進に関する法と貨物自動車運送事業法の一部改正では、今年4月から元請け業者に「実運送体制管理簿」の作成が義務化されることになっており、作成に必要な「請負階層」などを集計・管理できるシステム導入も事業の対象にする。

担当記者:大谷

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