よしの味噌(呉市吉浦本町、野間雅則社長)は、みその国内消費量が減少する中、県の特産レモンを使った調味料の開発・販売に軸足を移している。2月に販売した酢と発酵レモン配合の調味料「レモンと柚子の瀬戸内エッセン酢」で関連商品は約30点となり、売り上げ全体の8割以上を占めるまでに成長。今後も祖業の発酵技術とレモンを掛け合わせ、比較対象の少ない新ジャンルの商品開発を目指す。酢には抗酸化作用や疲労回復、ダイエット効果などが期待できる一方、揮発性で酢酸特有のツンとした臭いがある。レモンと柚子の瀬戸内エッセン酢は、レモンのクエン酸と酢酸が混ざり合うことで、まろやかな口当たりに仕上がった。パッケージは流行に敏感で高感度な30〜40代の女性をイメージしてデザイン。ラーメンやパスタ、唐揚げのほか、ヨーグルトやギョーザ、納豆などにかけてもおいしいという。呉市内のみそ製造業で最古参の1917年創業。98年をピークに売り上げが減少する中、2012年の県の観光プロモーション「おしい!広島県」で話題を呼んだレモンに着眼した。ひろしま産業振興機構の販売戦略塾を通じ、ターゲットの明確化と高価格路線で土産物需要を取り込む方向にかじを切り、「広島れもん鍋のもと」を開発。当時れもん鍋は一般的になじみがなく、発売当初は売れ行きがいまひとつだった。同商品のテーマソングを作成し売り場で流したところ、子ども受けして家族連れの試食を増やすことに成功。年々認知度を高め、23年には広島市の「ザ・広島ブランド」に認定された。このほか市場で珍しい「発酵れもん胡椒」、こうじを使うフルーツソース「発酵レモンのハニーソース」などユニークな商品を展開する。野間社長は「当社のような小規模事業者が大手と同じ土俵で戦っても価格競争に巻き込まれる。今後もレモンをはじめとする広島の特産品を使った土産物で、自ら市場と価値を生み出していきたい」と話す。

担当記者:高見

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