プライム上場でソフトウエア品質保証のシフト(東京)社長の丹下大氏と兄の工氏が立ち上げた、まちづくり会社のマサーント(神石高原町油木)は今夏、同町に一棟貸しの高級宿泊施設を、冬に東京・元麻布に料亭と宿泊の複合施設を開く。同町産食材や伝統文化の神楽などを生かして客をもてなし、同町の魅力を伝える。関係人口の創出や定住促進を目指す。
同町阿下にある兄弟の生家を改装し、5〜6月に「阿下迎賓館」=写真=を開く。2棟をつなげた平屋300平方㍍に三つのベッドルーム、リビング、いろりなどを設け、6〜10人ほどが泊まれる。石造りの半露天風呂には同町の温泉の湯を引く。自社で育てる神石牛など同町産食材を使う3食付きで、1泊40万円程度を検討。カモやイノシシなどジビエ猟の見学、雲海を眺めながら入るサウナ、神龍湖でのワカサギ釣りなど多彩なアクティビティ(別料金)を用意し、客の要望や季節に応じたオーダーメードのもてなしを提供する。広島空港や福山駅からマイクロバスで送迎。同町は宿泊施設が少なく、観光客やインバウンドの受け皿にする。VIP客の接待用途も想定。東京に開く料亭「漆乃煌庵(しつのきあん)」は元麻布2丁目のマンションの一部を改装。料亭に面した庭園内の池の上にステージを作り、和食やすしを食べながら、神楽やプロジェクションマッピングを組み合わせたミュージカルを楽しんでもらう。専用米を開発・栽培するほか、神石牛など町産食材を使う。政財界の会食、会合利用を見込む。宿泊スペースも設ける。同社は2022年設立。「補助金に頼らない地方創生」を掲げ、東京、福山市の神石牛レストランのほか、ガソリンスタンド、コインランドリー、資源ごみ回収などを展開。4月から星居山森林公園キャンプ場(同町阿下)の運営受託も始まり、たき火台といったアクティビティ設備などを新設して集客力を高める。
担当記者:大島