広島大学(越智光夫学長)は広島県、システム開発のBIPROGY(東京)と共同で、牛舎内の気温や湿度、牛の状態などに関するデータを一元管理するプラットフォームを構築した。これらの情報を基に4月、AIモデル分析で牛の乳量や質の低下を事前に予測して対策を講じる技術検証を開始。2026年度内に実用化し、人手不足や飼料価格の高騰に悩む酪農業界の負担軽減につなげたいとする。牛は季節や飼料の変化といった外的要因によるストレスでホルモン分泌量が変わり、乳量や乳脂肪率が減る。酪農事業者は気温・湿度計だけでなく自動換気システムや牛の運動量を測るセンサー、搾乳ロボットなどを導入して状態把握や均一化を図っているが、それぞれが個別に動いているため管理が難しいという。同大は県がスマート農業を推進する「ひろしまseed box」事業に採択され、23年から生物生産学部付属農場を中心に生乳生産量の向上への取り組みを進めてきた。BIPROGYのプラットフォームを使うことで、AIが各種データを統合分析し1〜2週間先の乳量や乳脂肪率の変動を予測。牛舎の環境制御、サプリメント投与などの対策ができるようになる。また並行して、非接触で牛の体尺と体重を推計する3D画像データ技術の開発も進めており、これらの情報も同プラットフォームに組み込む計画。3者は今後、東広島市豊栄町の酪農場トムミルクファームで実証を重ねるほか、将来は農林水産省と連携して同プラットフォームの全国展開も見据える。

担当記者:近藤

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