高齢者向けヘルスケアサービスのナースアンドクラフト(呉市豊町久比)は1月、株式投資型クラウドファンディング(CF)「ファンディーノ」で目標の3・7倍の4070万円を集めた。予防医療の推進を掲げ、スマートウオッチで取得した身体データを基に、看護師らが定期訪問して健康増進を助言するサービス「スタートウェル」を展開している。さまざまな事業者と連携して県外、海外にサービスを広げ、2031年の上場を目指す。

成長資金の確保に向け、昨年初頭からベンチャーキャピタルなどに働き掛けていたが条件面で折り合いが付かず、個人が少額からベンチャー企業の株式に投資できる同CFに目を付けた。親交のある起業家の孫泰蔵氏やプライム上場企業会長からの応援メッセージも後押しし、188人から出資を得た。深澤裕之社長は「リターンよりも社会的意義に共感してもらえた結果だと思う。説明会では故郷に残した高齢の親を心配する人らの質問が飛び交い、当社や事業への期待を感じた」と話す。今後、システムを改修し、生成AIによる健康アドバイスの自動生成機能などを追加する。同サービスは20年に大崎下島で始めた。昨年9月にはデジタル技術の社会実装を支援する愛媛県のプロジェクトに採択。薬局や介護事業のフェスレック(松山市)と連携し、同サービスによる高齢者の睡眠改善効果を探った。今後は同社と同市内でサービスを展開していくほか、同県内の他の医療機関、介護事業者にも協業を呼び掛ける。11月から東京で大手鉄道会社とテストマーケティングに着手しており、ナース社の看護師が遠隔で利用者の健康相談に乗る。

担当記者:大島

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