精米プラントで世界トップメーカーのサタケ(東広島市西条西本町、松本和久社長)は、4月をめどに国内の農家向け情報サービス「KOMECT(コメクト)」の提供を始める。穀類乾燥機、もみすり機、光選別機などが検知した数値を活用し、農地ごとの米の収穫量、品質を自動でデータ化。これまで各農家の経験に頼りがちだった栽培改善を標準化して翌年以降の農場管理計画に生かしてもらう。特に大規模農家や、複数の農家を抱える農業法人などで生産量と品質の安定に大きなメリットがあるという。2030年までに全国で1100件の導入を目指す。大規模生産者向け高耐久機シリーズ「SAXES」をはじめとする同社の新型機種に対応。旧型製品、他社製品でもタブレット、センサー、Wi―Fi機器、ソフトウエアなどIoT設備を後付けすれば一部機能を利用できる。例えば乾燥機で張り込み量や現水分など稼働情報、光選別機で選別前の被害粒の混入度合いといったデータを計測。面積など事前に登録した農場の情報を用いて自動集計し、反収(10㌃当たり収量)や精玄米、中米、くず米比率などの品質情報が得られるという。また玄米サンプルを同社に提出すれば内外観の調査を受けられるほか、国の研究開発法人「農研機構」が運営するデータサービス「WAGRI」から登録農場、期間別の積算温度、日照時間などの情報を参照できる。大規模農業法人など全国80の農家で23年からモニター試験を実施している。害虫、未成熟米、農地土壌劣化といった課題を顕在化することで、施肥設計、田植え・収穫時期、栽培品種選定などに役立てられると確認した。2月10日から利用料が1年分無料になる先行予約キャンペーンを開始予定。年間利用料、対応機種は近日発表する。今後はコメクトの内容を拡充し精米工場、カントリーエレベーター、炊飯工場などに向けてもDXソリューションを展開したいとする。17年から穀物加工施設向けクラウド型情報管理ツール「iネットワークサポートシステム」を展開。20年3月に「S―DX(サタケ デジタルトランスフォーメーション)」と銘打つ事業を開始し、現在は社内外で積極的に推進している。

担当記者:額田

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