「瀬戸内さかなブランド化推進事業」を展開する広島県は、市中央卸売市場の荷受の広島魚市場と広島水産の協働により1月31日、「こだわり漁師の競り」を初開催する。昨年10月の実証実験の成果を基に協議を重ね、新たな競りとして定期開催を決定。漁師のクラフトマンシップに照準した競りを根付かせて瀬戸内の魚のうまさと認知度を広めるとともに、流通価値向上を目指す。
1月末でエントリーしている〝こだわり漁師〟は鹿川、倉橋島、深江、阿賀、音戸、広、広島市の各漁協の15人。初競り当日は漁獲のタイミングに応じて腕に自慢の魚を出す。QRコード付き〝ブランド札〟を添えて漁場や漁法、品質を上げる下処理など漁師のこだわりを〝見える化〟。品質に対する理解を求めると同時に、漁師と直接取引する飲食店でないと、こだわりが伝わらず評価されない現状から、競りによって広く多くの需要層に届ける流通を促していく。
現行の競りは、産地の特定魚種をブランド化させて流通価値を上げるが、少量多品種の瀬戸内海は安定供給が難しい。魚種から〝漁師〟に評価軸をシフトして競り上げ、流通を強化する狙い。全国的に市場経由率が下がる中、中央市場の水産物総取扱高は2004年で4653万㌔、23年2005万㌔と約20年で半減。一方で量販店などの相対取引が増え、競りは全体の1割ほどに減り形骸化してきている。実証実験で、価値のある魚には相応な価格が付くと判明。この成果を受けて市場関係者らと協議を重ね、価値ある魚が評価されて適正な価格が決まる本競りとして毎週金曜に継続的に開いていくこととした。
県は県内各地の生産者や料理人らと取り組む「おいしい!広島」プロジェクトの一環として、瀬戸内海地魚のブランド化を推進。消費拡大〜持続可能な沿岸漁業を目指す。初競り当日から3月14日まで、参加料理店約30店舗合同で「瀬戸内さかな堪能グルメフェア」を開く。広島の日本酒の消費拡大も後押しする。
担当記者:藤井