県民文化センター(中区大手町)主催の〝夜神楽〟定期公演が、市中心部の新たな夜間の観光資源に定着してきた。2024年度(4〜12月)の来場者数は前年度比43%増の1万462人となり、4年連続で伸長。夜に楽しめる日本ならではの催しが他に少ない中、外国人観光客の増加に伴い人気を博す。
4〜12月の毎週水曜午後7時に開幕し、計39回を開いた。劇中の口上の英語字幕をモニターに映し、司会も英語を話すほか、チラシやガイドブックの英語併記などで受け入れ態勢を整えている。観光ボランティアガイドや市内のゲストハウスなどに告知に協力してもらった。公演当日は広島駅総合案内所などで同センターの職員が声を掛ける。外国人来場者数は倍増の3963人で過去最高となり、コロナ禍前と比べて2倍多い。県内インバウンドの動向と同様に欧米客が主体だが、アジアや中南米、中東、アフリカなどからも足を運び、計83カ国に及ぶ。自由席前売り1000円の手頃さも受け入れられた。上田浩史館長は「観光業界は23年のG7広島サミットに続き、今年の大阪・関西万博で追い風が吹く。三大都市圏などゴールデンルートから広島にも足を運んでくれるよう他団体と協力したい」と話す。
誘客にはSNSによる波及効果もカギを握る。指定管理するRCC文化センターとイズミテクノの共同事業体は、ユーチューブのRCCBC神楽チャンネルに舞台の模様を投稿。公演当日は来場者によるSNS拡散を呼び掛けている。閉幕後の神楽団との記念撮影会や夏休みのワークショップなどファンづくりにも工夫を凝らす。トリップアドバイザーの「トラベラーズチョイスアワード2024」と中国運輸局の「中国地方観光振興アワード」を受けた。
特別公演を予定し、2月26日は吉田神楽団の土蜘蛛、3月12日は鈴張神楽団の紅葉狩、26日は琴庄神楽団の滝夜叉姫。舞台に上がった神楽団を現地へ見に行ってもらう〝周遊促進〟を目指し、神楽門前湯治村(安芸高田市)との相互特典などにも取り組んでいる。
担当記者:吉田