食品素材メーカーの池田糖化工業(福山市桜馬場町、池田直之社長)は4月、同市箕沖町に新工場を完成し、サプリメントや飲料用の乳酸菌、ビフィズス菌など食品用微生物の培養を強化する。ハラール対応を打ち出し、人口増加が見込まれるアジア・中東地域の食品メーカーや、同地域へ輸出する国内事業者の需要を取り込む。
近年の健康志向の高まりを受けて食品用微生物の引き合いが増え、既存工場が手狭になっていた。その隣地を取得し、3階建て延べ2833平方㍍を新築。3基の培養槽、遠心分離機、大型凍結乾燥機などを備える。既存工場にない運転容量20㌧の大型培養槽を導入し、一度に大量に作ることで価格競争力を上げる。全体の生産能力を現在の2・4倍に引き上げる。工場全体でハラール対応の原材料だけを使い、機械部品、清掃用具などもイスラム教の戒律に抵触する豚毛や動物由来素材の樹脂などを使わないようにする。タンク、遠心分離機といった設備の洗浄などを自動化し、生産性の向上、スタッフの負担軽減につなげる。多様な人が働きやすいようバリアフリー構造とする。5月から部分的に試験稼働を始め、数カ月間かけて完全稼働に移行する。
同社は30年ほど前に食品用微生物などのバイオ関連事業に参入。グループでフリーズドライや粉末、顆粒化、小袋包装など培養以降の工程まで一貫して担える体制を強みに、大手食品メーカーを中心に取引先を拡大している。
担当記者:大島