日本酒を低温浄溜する第三の和酒「浄酎」を製造販売するナオライ(神石高原町小畠、三宅絋一郎社長)は、能登半島中央部の石川県鹿島郡中能登町に生産拠点の浄溜所を新設する=完成予想図=。2024年10月に「NOTO Naorai(ノトナオライ)(株)」を設立。中能登町で1919(大正8)年設立の鳥屋酒造に併設する倉庫を改装して、延べ415平方㍍に浄酎の生産設備、貯蔵タンク、商品販売ブース、熟成室などを設置する予定。現在スピリッツ製造免許を申請中で、早ければ2月にも浄酎の製造を始める。
鳥屋酒造は純米酒「池月」などを生産しており、能登半島地震の復興で、オール中能登での酒造りなどにも取り組んでいる。NOTO Naoraiは、北国フィナンシャルホールディングスグループのQRインベストメント(石川)、BPキャピタル(東京)が設立した「のとBeyond復興ファンド」の出資を受けており、3年後に売上高1億5000万円を目指す。現地で従業員2〜4人を募集する予定。ナオライは15年に呉市の三角島を拠点に創業。19年に広島県神石高原町に浄酎の製造拠点を設置し、今回の石川県中能登町で3拠点目となる。
ナオライは日本酒(純米酒)を原料にし、ウイスキーのように樽で熟成させる独自技術「低温浄溜」を共同出願で特許取得。賞味期限が短い日本酒を有効活用することで全国の酒蔵の再生・活性化を行うほか、地域の遊休拠点活用、有機米など農産物の6次化、ユネスコが無形文化遺産に登録決定した日本酒など「伝統的酒造り」の伝統継承などへの貢献を図る。三宅社長は「酒造り技能集団を統率する能登杜氏は南部(岩手)、越後(新潟)、但馬(兵庫)と並び日本四杜氏に数えられ、伝統的な発酵技術を持つ鳥屋酒造に併設し浄溜所を開設できるのは大変光栄。広島発の酒蔵再生モデルを山口県長門市、新潟、佐賀、東京でも計画し、将来は47都道府県での展開を目指している」と話している。
担当記者:大谷