不動産総合開発やソーシャルビジネスを手掛けるマリモホールディングス(西区庚午北、深川真社長)のグループ会社で釣り情報ウェブサービスのフィッシュフレンズ(同所、社長同)は、海底に沈む釣具を回収〜リメーク販売し、その売り上げを原資として海洋ごみ削減の取り組みを自走させるための実証実験を始めた。来年2月末までの結果を踏まえ、事業化の是非を検討する。一般に善意に頼るところが大きい清掃活動で、資源循環型の持続可能なサーキュラーエコノミーモデル構築を目指す。
具体的には、糸がちぎれたり岩に引っ掛かったりして海ごみ化した釣具を、網や潜水で回収〜リメークし釣具店に卸す。漁業者や釣り人とも協力。特に金属製ルアーは劣化しづらく、再塗装して針を修繕すれば十分に使えるという。タングステン素材の場合に新品価格は数千円が相場で、リメーク品も高めの小売価格を設定しやすい。フィッシュフレンズ会員の海ごみ投稿写真を基に20地点の海底調査を実施し、一定の回収量が見込めると判断した。売り上げは社会課題である海洋ごみ削減の原資にすることで、循環型の持続可能な仕組みを描く。半年間の実証実験の事業費は約1100万円を想定。日本財団・瀬戸内オーシャンズⅩの「瀬戸内海洋ごみ削減行動促進 支援基金」の2024年度(第5期)交付対象に選ばれた。前年度も、釣り後のごみ回収写真の投稿者に釣具店の割引クーポンを配布する事業で、瀬戸内オーシャンズⅩの助成事業に採択されている。ほぼ毎月第1・3土曜に瀬戸内沿岸で清掃活動を実施。期間中に延べ600人以上のボランティアが参加し、推定3㌧のごみ(ペットボトル換算10万本)を回収した。8000人以上の釣り人が2万件以上の海ごみ回収写真を投稿。寄せられた情報から、ごみの多い場所をデータ分析し、効果的な清掃活動につなげた。同社は21年に設立し、現在の会員数は6万8000人を超える。24年春には釣り具の輸出事業をスタート。日本の釣り具は質が良く、海外でも人気が高い。一方で中堅・中小の製品はあまり知られていないため、販路開拓に力を入れて世界に普及させたい考え。現在60ブランドを扱い、すでに韓国やインド、ニュージーランド、シンガポール、イギリス、スペイン、クウェートなど約20カ国へ輸出している。
担当記者:吉田