精米プラントで世界トップメーカーのサタケ(東広島市西条西本町2-30、松本和久社長)は海外展開を加速し、2030年をめどに海外売上比率を現在の4割から5割に引き上げる。特に人口増加や経済発展が著しい地域で拡大する需要を取り込む。23年までの5年間に米の生産量が約13%増加したインドを筆頭に、主要生産地域である南アジア、中国、東南アジアで精米設備の販売を伸ばし、アフリカ市場の開拓も狙う。米国市場では独壇場の大型精米プラントに加え、競合が多い光選別機にも注力する。同社は1980〜2000年頃にかけて米国、英国、タイ、中国、ブラジルなどに進出。現在世界2位の米生産量を誇るインドでは06年に現地事務所を法人化、同3位のバングラデシュには14年に駐在事務所を設けるなど、米食文化の根付く地域向けの供給網を整備してきた。プラント・エンジニアリングから搬送設備供給までワンストップ対応。自社でも穀物加工食品を製造する知見に基づき、顧客の課題に応じた提案やアフターサービスも強みとする。とりわけ大規模事業者向け精米プラントで高シェアを獲得してきたが、19年に途上国などの中規模事業者向け精米ライン「REACH(リーチ)」ブランドを発表。従来品より安価ながら、未処理米の荷受け、精米、選別、袋詰めなど出荷までの全行程に対応する。高品質な米の需要が高まる一方で、導入コストの余力が小さいアジア圏での存在感向上や、保存性・調理の簡便性などの要因で米の需要が急速に伸長するアフリカ市場の開拓を図る。北米では、米以外にも汎用(はんよう)性の高い光選別機を拡販する。例えばピーナツやアーモンドに対応できる穀物光選別機「バンテージ」や「エボリューション」、X線とAIでより高度な選別を可能にした「ベルトゥーザ スペクトラ」が好評だ。24年2月期は連結売上高669億円を計上。大型プラントの工期などの影響で売り上げに波があり前年比3・4%減としながらも、過去20年で2番目の実績だった。今年2月には海外向け新型精米機「SSW」シリーズを発売。4月には豪州穀物サイロ(貯蔵庫)メーカーを買収するなど、積極的な製品開発と事業拡大に取り組む。
担当記者:額田