精米プラントで世界トップメーカーのサタケ(東広島市西条西本町、松本和久社長)は、中食産業の拡大や海外和食ブームを受けて炊飯設備「SILK(シルク)」の販売を強化する。コンビニやスーパーの総菜を一括で作る食品工場などの業務用で業界唯一の加圧式IH方式を採用。2012年の発売から国内70ラインに導入し、現在の同業務用シェアは15%。30年までに50%に引き上げる計画だ。
シルクは電磁加熱で釜内を加圧し、米を対流させながら炊く。1・2気圧、106度で米の芯まで熱することで、時間の経過による風味の劣化や水分量低下、加熱のばらつきを抑制。IHはガス調理に味が劣るという通説を覆し、冷めてもおいしいご飯が炊けるという。1釜7㌔までの米を個別に炊く方式で釜ごとの調理時間の変更に対応し、同時に数種類の調理ができるようになった。例えばコンビニのおにぎりでは具材に応じて米飯の炊き方を微調整できる。また火を使うガス式では室温が40度以上かつ高湿度になる課題もあったが、電磁加熱と密閉釜の導入によって25度前後で低湿度の作業環境を実現し、作業員の負担と空調使用によるCO2排出を低減。洗米方法の見直しで水の使用量も削減した。すでに大手コンビニやスーパーに弁当、おにぎりを納品する食品会社、セントラルキッチンなどに導入実績がある。24年4月に専用ウェブサイトを開設し拡販を図る。海外では中国などアジア2カ国で採用されている。今後は日系コンビニチェーンの海外展開や和食ブームに伴った販路拡大を狙い、海外の展示会などへ積極的に出展を予定。短粒種白米が主流の東アジア圏を足掛かりに、長粒米を主食とする地域など他のアジア圏へ販促を目指す。
担当記者:額田