中区大手町5丁目のタカノ橋商店街一帯にここ数年で分譲マンションの新築が相次ぎ、かつての活気を取り戻しつつある。直近2年で供給された2棟218戸が完売し、年内に新規で2棟129戸の建設が始まる。入居者を巻き込んで地域活性化につなげようと、地元町内会と商店街の振興組合は町内会への新規加入を促す協議会の発足を計画している。
同商店街は1919年の公営市場開設を機に商店が集積。広島大学が東広島キャンパスを開く95年まで近隣の東千田町に本部を置き、一帯は学生街としてもにぎわいを見せていた。近年は建物の老朽化や後継者不足から空きテナントが目立ち、相続した不動産を手放す事例もみられる。マンション建設で住民が増えたことに加えて、昨春、同大法学部が東千田キャンパスに再び移転してきたことで地域の盛り上がりに期待が寄せられている。市の統計によると、ここ10年ほど2200〜2300人で推移していた中区大手町5丁目の人口はマンション開発などを機に今年4月末に2696人となり、統計が残る80年以降で最多だった。商店街の振興組合は新たな住人を歓迎する。飲食店を巡るはしご酒やビアガーデンなどのイベントを企画し、各店は新規客の獲得や接点づくりに力を注ぐ。マンション入居者の町内会加入を促すための協議会発足も計画されている。振興組合の谷澤隆夫理事長は「数百人規模をしっかりと迎え入れて親しまれるためにも、知恵を絞りたい」と意気込む。2022年以降の着工・竣工・計画物件を合わせると4棟347戸(本誌調べ)。GAパートナーズは商店街に面する立地に「ソシオコート大手町」(39戸)を7月着工し、26年2月下旬の完成を予定する。先行して22年1月にショッピングセンターの旧タカノ橋こうせつ(19年3月閉店)跡地に177戸の「ソシオ大手町T-SQUARE(スクエア)」を完成。20年10月の販売開始から2年弱で100戸超の大型物件を売り切った。同社は「利便性の高い立地で子育て世帯や、中高年の住み替えなど幅広い需要を取り込めている。新物件の販売も期待できる」とする。元安川沿いではJR西日本プロパティーズと広島電鉄が共同で「プレディア広島大手町」(90戸)を10月めどに着工し、27年2月中旬に完成予定。アーケードの南側には大京と穴吹工務店が共同物件「ライオンズ広島大手町」(41戸)を22年1月に完成、完売した。
担当記者:道本