広島地区の金融機関の2024年3月期決算は、期末貸出金残高が全12機関で前年を上回った。各機関は運転、設備資金、不動産関連など事業性融資や住宅ローンなどに注力し、新規開拓などが貢献した。期末預金残高は広島銀、広島信金、市信用、県信組など7機関が前期比で増加。売上高に当たる経常収益の増収は9機関で、広島銀、もみじ銀、しまなみ信金、広島みどり信金、市信用の5機関が増収増益だった。両備信組は貸倒引当金の増加で経常損失となった。

【収支状況】

広島銀は貸出金収支と有価証券収支の増加で、本業の収益を示すコア業務純益が47億円増加。与信費用が大幅に増えたものの株式などの有価証券関係損益の増加や退職給付信託返還益の計上で純利益は前期比150億円増加した。もみじ銀は資金利益の増加や与信関係費用の減少を主因に経常利益は前期比38億4100万円増、純利益も17億9900万円増となった。広島信金は余裕金利息や役務取引等収益の増加で前期比3億200万円の増収。コア業務純益は3億5800万円増えた。与信費用の増加などで経常、純利益は共に減益に。呉信金は貸出金利回り低下を上回る貸出金残高の増加で15期ぶりに貸出金利息収入が増加。有価証券利息配当金、役務取引等収益も増え増収に。人件費・物件費が増え、経常費用が前期比8・1%増え、経常が減益。広中央支店建替の特別損失を計上し純利益も前期比12・6%減になった。しまなみ信金は貸出金増加や有価証券配当金増加、投資信託や株式売却益、不良債権回収による取立益を計上し、前期比10・06%の増収。経常費用は資金調達費用や経費、貸倒引当金繰入額が減少し、保有投信や国債の売却損を計上し前期比7500万円増えたものの、経常、純利益は増益に。広島みどり信金は、貸出金利益と有価証券運用益が増え、与信コストの減少もあり増収増益になった。市信用は貸出金が148億円増え、21期連続の増収。経常収益、経常利益、純利益が過去最高を更新した。コア業務純益は前期に融資が755億円伸びた反動などで微減となった。県信組は貸出金利息収入が増え増収だったが、与信費用が増え減益に。両備信組は預金・貸出金は増えたが、貸倒引当金が3億400万円増加し2100万円の経常損失になった。備後信組は経常収益、経常利益は微減だが、特別利益の計上で純利益は増益。広島商銀は預貸金が共に増加。貸出利益と有価証券運用益が増え増収。人件費、物件費が増え、不良債権の売却処理などもあり減益。中国労金は貸出金増加で資金運用収益が増えたものの、その他業務収益が減り、減収。経常費用が前期比1億7700万円減り、経常、純利益共に2期ぶりの増益になった。

【自己資本比率・不良債権比率】

自己資本比率は、もみじ銀、広島信金、市信用など8機関が前年を上回った。不良債権比率は、呉信金、しまなみ信金、県信組の3機関が改善し、他の9機関は上昇した。

担当記者:大谷

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