労働力の全体的な減少や東京への一極集中などを受け、県内の自治体は企業が副業人材を活用するための支援策を打ち出している。副業や兼業を認める事業者の増加を追い風に、大都市圏などで働く優秀な人材と県内企業のマッチングを図るほか、採用費を補助する例も。官民一体となった取り組みで経営課題を解決し、地域の産業振興を目指したいとする。
広島県は今年度、人材サービス業のみらいワークス(東京)と共同で二つの事業に取り組む。「大都市圏等プロフェッショナル人材と県内企業等マッチング業務」では9月25日に東京、11月13日に大阪でイベントを開催。企業プレゼン、個別相談などを通じて副業や転職を考える人材を誘致する。また「中山間地域外部人材活用支援業務」は広島市北部エリアや庄原市、江田島市など県内14市5町の中小企業を対象としたセミナーの企画・運営に加え、外部人材を実際に受け入れるためのサポートも行う。みらいワークスは過去にも県から類似業務を受託した実績があり、ノウハウを生かすという。福山市は副業マッチングサービス「ロッツフル」を運営するパーソルイノベーション(東京)と昨年度から連携している。同市ほか三原市、尾道市、府中市、世羅町、神石高原町、岡山県笠岡市、井原市に拠点を置く企業を対象に、同サービスの情報掲載料を福山市が負担。今年度は竹原市を新たに加え、最大24万円を補助する。福山市担当者は「日常生活と経済の両面でつながりの強いエリア。広域連携により、全体の産業活性化を図りたい」と話す。昨年度の支援実績は15社だった。経団連の調べによると、社員の副業・兼業を認めている会員企業は年々増え、2022年に初めて5割を超えた。今後認める予定の企業を含めると7割超となっている。認めたことによる効果は「多様な働き方へのニーズの尊重」と「自律的なキャリア形成」が上位で、従業員満足度向上のために副業制度を活用するケースが多いことがうかがえる。
担当記者:近藤