広島都市圏でホテル開業計画が相次ぐ。コロナ前3年間(2017〜19年)の広島市内シティーホテルの客室稼働率は、いずれも85%前後で全国2位が続くなど需要に対して供給が不足していた。現在はコロナ収束や23年のG7サミット開催で観光客が増えたことに加えて25年開催の大阪・関西万博に伴う宿泊需要も見据え、国内外のホテル事業者が広島に商機を見いだしている。

「FAV HOTEL」を展開する霞ヶ関キャピタル(東京)は廿日市市宮島口での開業に向けて、延べ4400平方㍍の鉄骨造5階建てビルを24年5月に取得した。宮島の来島者数は同年1〜6月で233万5400人と19年を上回るペース。今後の一層の伸びを見込む。陸の玄関口に目を向けると、25年春開業のJR広島駅新ビルによる、にぎわい効果が期待できる。アパグループ(東京)は24年7月に「広島駅前新幹線口」(294室)をオープン。同年10月に「広島駅前スタジアム口」(242室)、28年春に「アパホテル&リゾート広島駅前タワー」(600室)も計画する。このほかJR西日本などが25年春に「ホテルグランヴィア広島サウスゲート」(380室)の開業を控えている。インバウンド需要を取り込むために外資系ホテルも次々と進出。米国大手マリオット・インターナショナルが27年前半に「コートヤード・バイ・マリオット広島」(183室)を中区三川町に、英国のIHGホテルズ&リゾーツは総合不動産のサムティ(大阪)と提携して同年後半に「voco(ヴォコ)広島」(301室)をJR広島駅近くのホテルセンチュリー21広島跡地に計画する。23年の県の外国人延べ宿泊者数は19年比9・2%増の144万4310人泊とコロナ前を上回る。24年上期も順調に推移し、街が活気づく。また、宴会場や結婚式場を設けない宿泊特化型や中価格帯の計画も進む。ロイヤルホテル(大阪)はリーガロイヤルホテル広島に次ぎ、27年秋頃に中区東平塚町で新ホテル(167室予定)を開業すると発表した。国は23年度からの新たな「観光立国推進基本計画」でインバウンドは25年度までにコロナ禍前の3188万人超、外国人旅行消費額5兆円の早期達成などを目指す。雇用でも大きな影響がありそうだ。

担当記者:阿戸

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事