マツダ(毛籠勝弘社長)は2025年3月期に、確認できる1997年3月期以降でそれぞれ最大となる設備投資1700億円、研究開発費1600億円を計画する。「CX-60」など高収益な新シリーズ「ラージ商品」(比較的車体が大きく馬力のあるSUV)の増産や電動化などに充てる。

推移表(年3月期)

特に北米市場の販売好調を受け、米国アラバマ、メキシコ、日本の各工場で増産する。ラージ商品は3列シート車「CX-80」と北米向け「CX-70」のプラグインハイブリッド(PHEV)搭載モデルを加える。また、北米市場で「CX-50」にハイブリッド(HEV)の導入も計画。EV市場が拡大する中国では、協業先の技術を活用したバッテリーEV(BEV)とPHEVを設定する新型車「EZ-6」を年末までに投入するなど反転攻勢を図る。欧州はPHEV搭載のCX-80を今秋に発売する。23年11月には電動化事業本部を発足させており、同社初のBEV専用プラットフォーム車の27年発売に向けてリソースを注ぐ。また、開発中の次期「CX-5」には排気エミッションと熱効率を同時に改善したスカイアクティブエンジンに自社製HEVシステムを搭載する計画。

マツダ EZ-6

積極的な投資を支えるのが、24年3月期で売り上げ利益ともに最高だったことによる潤沢な手元資金だ。具体的には、ネットキャッシュ(現預金などから有利子負債を引いた実質的な手元資金)は前年同期に比べて約2500億円多い3515億円となり、3年連続プラスだった。積極的な研究開発と設備投資が車の性能向上や新技術の搭載、ブランド力につながり、値引きに頼らない〝価値訴求販売〟に結びついた。販売単価、利益率ともに高まっている。

マツダ CX-70

なお1997年(以下、全て3月期)以降の設備投資額はおおむね200億円台後半〜700億円台後半で推移し、現行の主力となった第7世代と呼ばれる商品の生産に備えて2018年に1000億円を超えた。これまでの最高額は22年の1443億円で、アラバマ工場の建設やラージ商品の生産設備に大きな投資を行った。23年の反動減を経て、24年はラージ商品の拡充や発電用ロータリーエンジン搭載車の発売などに合わせて1213億円を投資した。

担当記者:吉田

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