広島大学発バイオベンチャーのミルテル(南区出汐1-2-10、加藤俊也社長)は、唾液を用いた乳がんリスク検査「スキャンテスト乳がん」が広島県の実証事業に採択された。オール薬局運営などのマイライフ(呉市中通、糸賀誠社長)と呉市との官民連携で、乳がん健診の受診率向上を目指す。6月から2025年3月末までを予定。乳がん治療には早期発見が欠かせない一方、広島県の同検診受診率は12・1%と全国平均よりも低いという。呉市のアンケートによると、未受診の理由として「特に困ったことがなかった」、「体調が悪くなったら病院に行く」が合わせて半数を占めていた。市民の意識改革へ、ミルテルのスキャンテストを用いて受診率アップの可能性を探る。呉市が未受診者に対し、書面やチラシ、ポスターなどで実証事業の概要を告知する。受診率の向上には個人への勧奨が有効とされるが、同社は一般市民との接点が少ない。呉市で調剤薬局14店舗と「オールカフェ×タニタカフェ呉店」を展開するマイライフと連携し、採取キットの配布や結果報告などを対面で行うことで、誘導効果の実証を図る。加藤社長は「乳がん罹患率・死亡率共に年々増え続けており、受診率の低さは社会課題とされている。今回の実証で、新たな事業の可能性も探りたい」と話した。
担当記者:高見