県内の製造業15社で構成する(社)ヤマトプロジェクト(後藤茂代表理事)は、2024年度に静岡県開発型企業研究会、岡谷市21経営者研究会(長野県)を広島に迎え、交流会を開く。生産連携・共同受注グループMIKI-500(熊本県)とも4月と6月に相互交流し意見交換などを行っている。人材分科会による広島県北、山口県域での合同企業説明会の企画・検討なども行う。23年度は中四国地方の製造業への事業承継支援で、構成企業によるM&Aなど3件を支援した。交流分科会で招く静岡開発型企業研究会は1978年に18社で設立。共同受注や共同開発からスタートして大学や公設試と産学官連携交流を図り、セミナーや視察会、後継者育成支援などを行っている。岡谷市21経営者研は切削、表面処理、板金、専門商社など18社が先輩経営者からの講話、工場見学、地域の先進企業との意見交換などを続けている。人材分科会では県北・山口県域での合同企業説明会の企画・検討、ポリテクセンター、職業能力開発短期大学校等へのアプローチなど共同採用活動も計画する。ものづくり分科会を中心に行う23年度の共同受注は新規受注6696万9000円(22年度は5870万3000円)、構成企業間取引1億3541万5000円(同6357万3000円)で、計2億238万4000円(同1億2227万6000円)と伸びている。23年度は新規と企業間取引の計2億円の目標を達成した。23年には尾道商業高校から構成企業の圓光産業に依頼があり、ヤマトプロジェクトに展開しデザインや開発の流れについての授業を行った。同プロジェクトの協力で構成企業の晟上工業が製造販売するコンタマシン(重切削用直線自動送り切断専用機)は累計3台を販売し、24年度に2台の納品を予定。同プロジェクトは県事業承継・引継ぎ支援センター、ひろしま産業振興機構などと連携し、中四国地方の製造業への事業承継で3件を支援した。後継者不在でコロナ禍によって売上高が減少していた小ロットプレス・試作品事業者に対し、構成企業が全株式を取得。生産性、収益性を向上させた。売り上げが減少していた鋳物製造業も構成企業が株式の半数を取得して子会社化し、金融面、信用面で支援した。他に代表者が亡くなった鋳物製造業に対し、幹部社員の相談対応や従業員説明会への同席、後継者候補紹介、生産性・収益性向上支援などを行った。
担当記者:大谷