中電工(中区小網町、重藤隆文社長)は、カメラから取得した映像のAI解析などを提供するサービス「CaaS(カーズ)」を本格的に始めた。商標登録に加え、4月には専用サイトを開設し、情報発信を強化。交通や人流、水位などさまざまな目的に合わせた分析ができる点を訴求し、防災や観光などへの活用を目指す。
情報通信・映像機器の企画などのハイテクインター(東京)と連携し、高性能なIPカメラとAIをサブスクリプション方式(月額制)で提供。カメラから取得した映像をクラウド上で目的に合った情報に変換する「VIXクラウド」を使い、業務の効率化や省人化、DX推進などを主に自治体や国に提案する。例えば、車線増設や右折レーンの導入などの検討材料に用いる交通量調査では、人手による計測の代替策として採用された。トラックやバスといった大型車両と乗用車などを分類できるうえ、国土交通省の検知率目標95%に対し、昼夜とも97%以上の精度という。一定の水位以上で警告を発信し、防災や減災につなげる水位計測ほか、オーバーツーリズムの緩和策への応用も見込む。北海道美瑛町では、農地への観光客の無断侵入や交通渋滞の発生などの課題に対し、混雑状況の可視化を提案。有名観光地「白金青い池」や「クリスマスツリーの木」など4カ所の駐車場と人混みの状況を計測し、同町公式ホームページや、観光拠点のデジタルサイネージでリアルタイムに発信しており、混雑時の対応迅速化や観光客の分散などが期待できるという。市内では2月のエディオンピースウイング広島開業による人流変化を観測するため、隣接するひろしまゲートパーク内にカメラを設置。結果を広島市や広島都心会議などに報告しており、今後の「ウォーカブルなまちづくり」に生かしてもらう。人流分析では年齢や性別などの属性も分析できることから、将来は観光コンサルタント会社などと連携し、より踏み込んだ提案にもつなげたいとする。
担当記者:高見